室外機に人権を
突然だが、
エアコンの形をパッと想像してみてほしい。
どうだろう。
おそらくほぼ全員が、部屋の天井の片隅で冷風や温風を出している“室内機”を思い浮かべたのではないだろうか。
それは正解。あなたは何も間違ってはいない。
-だが、しかし-
忘れないでほしい、エアコンはその“室内機”の他にもうひとり、“室外機”がいるということを。
そもそも現代社会における我々の暮らしの中で切っても切れないとても大事な部分を占めているエア・コンディショナーであるが、そのエアコンを動かしているコアは室外機である。もっとはっきり言えば本体が室外機である。
部屋の中で冷風や温風をファァァっと我が物顔で吹いている室内機ばかりがフューチャーされているが、それがそもそも大きな間違いなのだ。そして、そのイメージを定着させてしまった一因は業界にもある。
CM出るのも、パンフレットの表紙も、家電量販店でメインなのも室内機だ。意味が判らない。おかげで室内機は完全に天狗状態。
「私が売れているのは自分自身の才能さ、ひっひっひっ」と言わんばかりだ。
断っておくが僕はエアコンマニアではない。室外機マニアだ。
なんなら室内機はちょっぴり嫌いですらある。
世間的には外に置かれた室外機はただのでかい補助マシンだと認識されて、なぜか下に見られている。
時に重い、邪魔、存在価値が判らないとまで言われてしまう。
室内機はどんどんスタイリッシュにそのデザインを変えていくのに室外機は昭和から似たようなスタイルを貫き通している。
考えてみてほしい。室外機は通行人が目にする唯一、人様の家電である。他人の家の冷蔵庫は見えないけれども、室外機は歩いているだけで視界に入る。もっと気を遣いデザインが多岐に渡ってもいいはずだ。ここぞとばかりにブランドがOEMやコラボで出してもいいと思う。シャネルの室外機や痛車ならぬ痛室外機があればそこそこ売れるはずだ。室外機ほど世間に露出する家電はないのだから。
家電で唯一、形も把握せずに店で買ってしまうのも室外機だ。
冷蔵庫を買う時、形を見て買うはずだ。
電子レンジもテレビもパソコンもポットだってそうだ。
色や形をしっかり把握して購入している。
では、エアコンは? 室内機だけを見て買ってはいないだろうか? 室外機の形を気にして購入を悩んだことが果たしてあるだろうか? 自宅で初めて室外機を目にして「そっか、室外機あるんだ」くらいに思って終わりにしていないだろうか。
室外機は室内機にくっついてくる“どでかい金魚の糞”くらいに思われているのが現状である。
それくらい室外機は現代社会において、いや、エアコンの歴史において雑に扱われてきた。
もう一度言う。
エアコンは室外機が主役である。
この記事にイイネなんて押さなくてもいいから、これだけは覚えて帰って欲しい。
もっと彼らの存在を認めてあげて欲しい。
是非、おうちの室外機に「いつもありがとう」って言ってあげて欲しい。
その言葉ひとつで、きっと冷暖房の効率も良くなるはずだ。
嗚呼、室外機に人権を。