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『先生たちのリフレクション』を読んで

 『先生たちのリフレクション(主体的・対話的で深い学びに近づく、たった一つの習慣)』<教育開発研究所>を、おすすめしていただいた先生から借りて読みました。とても学びになることと、腑に落ちたことが多いので、本を返す前に、個人的に考えたことや、刺さったことを中心に、まとめたいと思います。要約はしないので、興味があったら読んでください。

1.信念に生き、信念にとらわれている教師たち

 教師は信念にとらわれている。ポジティブな信念、ネガティブな信念がある。
 今まで自分が受けてきた教育、積み上げてきた経験から生まれた「~ねばならない」という信念が、多忙感、教室におけるマルトリートメントを生み出してしまっている。
 自律性支援VS行動制御のことも触れられていた。前者は若手に多く、後者は昔ながらの考えのなごりなので、ベテランに多い。こういった信念を変容させるには、リフレクションが大事であるということです。
 教師の信念の変容が起きるとき。それは、他者からの助言された内容を自分の中で問い直し、問題や行為のみを再解釈し、自分でデザインした対処法を実践して、ポジティブな子どもの反応を得られたとき。実践を通して実践の中の知を獲得するしかない。そこで働くのが、自らを主体的にふり返り、考える「リフレクション」である。


2.大きな転換

「アクティブ・ラーニング」 →「主体的・対話的で深い学び」
「指導方法」        →「授業改善の視点」
授業は、教師主語      →子ども主語
教師が、どう教えるか    →子どもがどう学ぶか


3.エージェンシーを尊重する

ハーグリーブスの4段階の教育改革の流れが出てきて、とても腑に落ちました。

第一段階は、公教育の量的拡大期。
第二段階は、新自由主義による教育改革期。いわゆる競争原理。学力調査の結果で競い合う。
第三段階は、スタンダードによる公教育の水準上昇をめざした時期。目標管理。方法重視。
第四段階は、学校のエージェンシーを尊重する時期。

まずは、「エイジェンシー」とは

これからの社会を生きる子どもたちに育成したい力について、OECD(経済協力開発機構)を中心として国際的な検討が活発に行われています。OECDは、「教育とスキルの未来2030プロジェクト」を進め、2019年5月に、「OECDラーニング・コンパス(学びの羅針盤)」を発表しました。

「エージェンシー」はその中心的な概念として、「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する能力(the capacity to set a goal, reflect add act responsibly to effect change)」と定義されています。
詳しくはこちらをご覧ください。出典です。
「エージェンシー」とは?【知っておきたい教育用語】|みんなの教育技術 (sho.jp)



一方的に教師がスタンダードを与えてもうまくいかない。
やはり大事なのは、エージェンシーである。
学習者と教師のエージェンシーの尊重こそ、今の時代に大事なこと。
学習者エージェンシーを実現するのは、教師エージェンシーである。
エージェンシーを尊重しているのが秋田県である。


4.リフレクションの段階

 なんでもかんでも熟練教師や専門家に聞く文化が日本にはあるが、言葉で説明できるものであれば、テキスト化できているはずである。そうなっていないのは、実践の中にテキスト化できないものが多く含まれていて、教師がそれを読み取り、瞬時に判断しているのである。
「教えてもらう」⇔「自分で創意工夫する」このバランスが大事。

熟練教師は、授業の各所で即興的な意思決定を行っている。

リフレクションの段階

技術的リフレクション・・・作業的、汎用的な原則を技術的に応用すること
イメージ:初任者が教えられた通りに授業すること
実践的リフレクション・・・熟練教師は、グラウンドルールを授業の文脈や場面に応じて、即興的思考を働かせ、即興的働きかけをしている
批判的リフレクション・・・学習指導要領を主体的に解釈→教科書を解釈→授業を構想子どもの実態と合わせながら、学習指導要領の記述を超えた授業構想をするのが批判的リフレクション。批判的リフレクションの初期段階は、授業の目的を理解すること教科書会社があくまで参考として示している指導書を教材解釈のモデルととらえる姿勢は、技術的リフレクションの次元=マニュアル通り

他の人が書いた、直した指導案でそのまま授業するのは、技術的リフレクション。
熟練教師は、教科の目的、学校教育目標まで遡り考察し、授業の目的を構想している、これが実践的・批判的リフレクション。

5.自分で考えて自分でやってふり返る

 コルトハーヘン(2010)は、教師に求められるのは、外部で作成された理論を自らの実践に適応することではなく、自らの実践に即して、理論を構築していけばよい、とした。


まとめ


 教師の変容を促すのは手法でなく姿勢相手の主体性(エージェンシー)を認め、粘り強くかかわり続け、教師のリフレクション(技術的→実践的→批判的)を求める姿勢が大事であるということです。

 以上、エンチャントでした!

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