👨‍🏫魂を磨くとは『考える教室』を読んで

こんにちは、考えたい人◎えんちゃんです。

今回は『考える教室　大人のための哲学入門』若松英輔著を読んだ感想を書いてみます。
にしてもNHK出版学びのきほんシリーズ、わかりやすくて大好き。全巻揃えたい気持ちです🫣

この本は
第1章　プラトン「ソクラテスの弁明」
第2章　ルネ・デカルト「方法序説」
第3章　ハンナ・アレント「人間の条件」
第4章　吉本隆明「共同幻想論」
の4つの章で構成されています。

自分の考えを深めることの一助になるとのこと。哲学というと難しそうですが、哲学は「魂を磨くこと」であると語られています。
さっそく、私の読書という「旅」の記録を記します。

第１章　ソクラテスの弁明

ソクラテスの弁明の解説を読んで気づいたのは、“謙虚”とはただへりくだる・遠慮することではなく、「知らないということを知ること」なのではないかということです。
これまで私は、謙虚とは日本人のマナーなのだと考えており、お恥ずかしながら“謙虚”ではありませんでした。それは謙虚→遠慮→自分を認めていない→自信がないことの表れであると考えていた節があるためです。
振り返ると“謙虚”で人望の厚かった、一緒に仕事をできてよかったと思えた会社の先輩は、相手を選ばず敬語で話し、自分を押し付けず、生意気な私の意見にもいつも耳を傾けてくださっていたように思います。

ソクラテスは「無知の知」を生きるため、自問自答を続けました。そして自他の「無知の知」を深めるため対話をし、時に（前の記事で簡易的に挑戦した）ソクラテス式問答法と呼ばれる手法を用いたのではないかと思います。
ただソクラテス式問答法は質問者の意図の方へ、相手の回答を誘導する一面もあります。知らないということを知っているソクラテスがどういう意図で用いたのか、少し矛盾を感じますが、この本だけからは読み取りきることができませんでした。引き続き学んでいきたいポイントです。

第２章　ルネ・デカルト「方法序説」

「行間を読む」というものがあります。これはもともと”read between the lines”という英語の訳です。読書とは、目に見える文字を扉にして、その奥にあるものを「眼」で感じとることであることは、これらの表現からも感じ取れます。

第２章「考える」ことについてールネ・デカルト『方法序説』

「われ思う、ゆえにわれあり」ー中略ー
大切なのは、知るべきことを、知るべき時に知る、ということです。ー中略ー
「いまは分からない」ということを「いま分かりつつある」という認識を深めていくほかないのです。ー中略ー
他人の解説で「愛」について理解したと思うことは、真の学びとはいえない。

第２章「考える」ことんいついてールネ・デカルト『方法序説』

”百聞は一見にしかず”を体現する思考だと感じました。そしてこれは私が物事を学ぶ際に大事にしていたことに通じていました。

私は大学で建築を学んでおり、その際に一番楽しく・感動を覚えて身になったのは、授業で学んだ建築の手法・デザインを、実際に街中の建築で見出した時でした。実際にこの経験が大きかったことから、就職は机で図面を書くだけでなく、現場監督の経験も積める会社を選びました。そして自分で苦労した設計・監督経験は、自身の血肉になっていると自信を持って言うことができます。
実務での経験と同様に、読書もただ読んで「なるほど」と納得するだけでなく、実践に移し体感を加えることで血肉にしていきたいと思います。

一歩間違えれば、いつかどこかで参加した会社のインターンで言われた「痛みはギフトだ！」に通じ、ブラック感ムンムンで、言いたいことはわかる、がしかし。という感じですね笑

第３章　ハンナ・アレント『人間の条件』

人は誰も、迷っているとき、早急に答えを得たくなるものです。すると人は、その答えに多少の毒があっても、それを飲みこんでしまう。哲学の力をつけるには、喉が渇いたからといって、毒を飲むのではなく、その渇きに耐えることを学ばねばなりません。心の渇きを真に癒すのは、世に流布する「甘い」言葉ではありません。自分の手で掘り出したコトバです。
ー中略ー
不安を感じるのは、解答が見つからないときです。つまりアレンとは、答えがなく揺れ動いているという現実を背景にして自らの哲学を樹立しようとしている。何か確固とした見解や経験を背景にするのではなく、船が大きく揺れるような不安定な状態で、ものを考え続けていくことが大切だというのです。

第３章「働く」ことについてーハンナ・アレント「人間の条件」

先ほど最後に記述した「痛みはギフトだ！」ではないですが、実際に不安定な中での葛藤はチャンスでもある。全く簡単ではなく、むしろ厳しい。見通しが立たないというのは、正直私が最も苦手とするところです。

アンナが区別する「仕事」と「労働」、「労働」での不安定で葛藤することは挑戦していきたいが、「仕事」でも葛藤することは荷が重いというのが今の本音です。簡単にいうと自分ごとである「労働」での苦労はどうにかしようと思えるが、「仕事」での苦労は責任と相まって単純に受け入れることが難しい。
この「仕事」での哲学の樹立の方法・方針については引き続き考えていきたいところです。

第４章「信じる」ことについてー吉本隆明『共同幻想論』

「誰がそういったか、をたずねないで、いわれていることは何か、に心を用いなさい」

『キリストについて』トマス・ア・ケンピス著　大沢章・呉茂一訳

これは「達磨が心配してもしょうがないって言っていたよ！」ではなくて、「不安には実態がない、ないものをなくすことはできない。って達磨が言っていたよ！」が正解ということだと思います。

情報過多な今、特に新型コロナについて当初様々な人が情報を発信しました。発信者の身元の重要性を体感しました、しかし医師だからといって正しい情報を発信しているとも限りませんでした。”誰が発信したか”真偽を見極める１つの要素にはなるものの、内容を鵜呑みにせず自分の中で消化することは引き続き大切にしていきたいと思います。特にインフルエンサーのPRに乗りがちな自分は肝に銘じておきます_:(´ཀ`」 ∠):

作者のススメ

作者は冒頭で、作中の言葉を鵜呑みにするのではなく自分にとって重要な問いは何か見つけることを伝えています。作中の考えを糧にして自分の人生を掘り下げることを目的とするということだと思います。

また最後には一歩踏み込んだ読書ノートの作成方法として、①心に響いた言葉を書き写すこと②そしてそれに表題をつけること　の2つを薦めています。　
表題を付けることはその文章が自分にとってどういうものだったのか記録することだと理解し、実践していきたいと思います。

まとめ

さすがNHK出版学びのきほんシリーズ。取り掛かりにくそうな哲学に、ちゃっかり興味津々です。図書の最後に記述があるオススメの本も少しずつ読み進めていきたいと思います。
ソクラテスとプラトンの基本情報・思想は、一般常識としても学んでおいて損はないかと思います。ぜひ哲学≒魂を磨くの入門書として手に取って見てください。
長文失礼いたしました。