分裂していく仏教僧団、複雑になったブッダの教え、「図解」
このnoteでは、分裂していく仏教僧団を簡単に説明します。
第一結集(だいいちけっしゅう)
■仏教僧団が今みたいに分裂する前には、仏教集団が一致団結する集まりがありました。
それが、
『第一結集』(だいいちけっじゅう)
といいます。
ことの始まりは、
ブッダが亡くなって間のない頃、年老いて出家したスバッダという修行僧が、
「おいおい!みんな落ち込むな、それよりむしろよかったではないか!これで偉大なブッダから解放されたんじゃ!
もうあれをしろ、これはするなと口うるさく言われないですむではないか!」
と無神経な暴言を吐きました。
これを聞いた、
長老のマハーカッサパ(大迦葉・だいかしょう)が仏教僧団の今後の存続の危機を感じて、
500名のブッダの選りすぐりの阿羅漢(悟りの境地を体現した修行完成者)の弟子を集めて、みんなで声を出し合う、合誦(ごうじゅ)で、教えの内容を徹底的にすり合わせをしました。
これが『第一結集』(だいいちけっじゅう)といわれます。
第一結集では、
ブッダの側近で、ブッダの教えを一番よく聞いていた
・多聞第一(たもんだいいち)のアーナンダがブッダの教えを語り伝え、
・戒律を一番守っていた、持律第一(じりつだいいち)のウパーリが仏教僧団の戒律や規則をが語り伝え、
阿羅漢みんなで確認してブッダの教えをまとめていきました。
だからお経は、如是我聞(にょぜがっもん)の、「わたくしアーナンダはこう聞きました!」から始まるのです。
この「ブッダの教え」を基盤として、
戒律と法を整えて、今後の仏教僧団を一つにまとめて、ブッダの教えを継承していくことになります。
《その初期の頃の教えを編成してまとめてパーリ語で聖典にしたのが原始仏典です。このnoteはその原始仏典にでてくるブッダの教えをまとめています。》
根本分裂(こんぽんぶんれつ)
■第二結集(だいにけっしゅう)で、根本分裂(こんぽんぶんれつ)する
ブッダ入滅から100年後、布施(ふせ)で金品を受け取ってよいかどうかの考え方の違いで、激しい言い争いがおこります。
そして今まで通りの厳しい「戒律を守る保守的なグループ」と、「時代に合わせて対応する柔軟な大衆部のグループ」に
大きく二つに別れてしまいます。
これを『根本分裂』といいます。
・戒律を厳しく守る保守派は、「原始仏典」(パーリ仏典)をそのまま引き継ぎます。「原始仏典」は戒律から制定していったので、戒律を厳しく守る保守派がそのまま継承していくのがもっともなことだといえます。
・柔軟に対応していく大衆部のグループを大乗仏教とよびます。
新しく立ち上がった、大乗仏教(だいじょうぶっきょう)のグループは、保守的なグループは出家しないと覚れないと小さな乗り物(舟)にたとえられて、小乗仏教(しょうじょうぶっきょう)とよばれます。
日本で有名な「法華経」(ほけきょう)も、新しい大乗仏教のグループが作成したお経で、前半の内容は、この保守派の小乗仏教グループの批判している内容がたくさん表現されていることがわかります。
法華経もまた紹介していきます。
根本分裂した仏教僧団は、
インドからスリランカを経て、タイなどに伝わっていく南伝仏教(なんでんぶっきょう)になり、今も上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)として残っています。
「原始仏典」(パーリ仏典)をそのまま引き継ぎ、出家してからきびしい戒律も守り、身につける服の袈裟(けさ)もオレンジ色の糞掃衣(ふんぞうえ)が特徴的です。
糞掃衣(ふんぞうえ)とはブッダが修行していた時代に、死体が包まれていた布や、フンにまみれた服を切り取り継ぎはぎにし、衣にして着ていたのが由来です。
当時の厳しい戒律が、現在の服装にも継承されているのがわかります。
《改革派の大乗仏教・北伝仏教》
改革的グループは出家しなくてもみんなが救われる教えとして大きな乗り物(船)にたとえられて、大乗仏教(だいじょうぶっきょう)と呼ばれて中国に伝わり、そののちに日本にやってきます。北伝仏教(ほくでんぶっきょう)とも呼ばれます。長い年月をかけて、言葉や文化が異なる国に引き継がれていくので、その土地の思想や文化が仏教とも融合して多彩で多様な教えが増えていきます。
枝末分裂(びまつぶんれつ)
《枝末分裂》(しまつぶんれつ)
根本分裂から、100年、200年と時代が経つに連れ、さらに細かく20以上のグループに分裂して、それぞれの部派ごとが「ブッダの教え」の法を研究して、論蔵(ろんぞう・アビダルマ)にして編成していきます。論蔵(アビダルマ)は部派ごとで伝えられる内容に違いがでてきます。
《現在仏教が信仰されている国》
・中国 約1億8千万人
・日本 約8000万人
・タイ 約6000万人
・ミャンマー 約3000万人
・スリランカ 約1400万人
・ベトナム 1400万人
・カンボジア 1300万人
・韓国 1000万人
・インド 900万人
・マレーシア 500万人
*上記数字は、2年前のタイ外務省のHPを参考しています。