見出し画像

5日目〜お別れの日〜

今日は息子とお別れをする日。
夫は一日休みを取り、娘は保育園に預けた。
娘が息子と対面できないのは残念だが
コロナもあり、幼児は病院に入れない。
息子を家に連れて帰ることもできたようだが
小さい身体を見てどう思うかわからなかったし
退院から今日まで
信頼できる病院に預かってもらう方が
安心できると思った。

病院に行く途中、お花を買った。
小さい棺にも入るような
小さいスプレー菊を選んだ。
約束の時間まで病院のカフェでゆっくりする。

娘が生まれてから
夫と二人で出かけるのは初めてだった。
実家に娘を預けて二人で出かけることもできたはずなのに、今までそれをして来なかった。
お互い仕事が忙しく
家族で過ごせる時間が限られていたから
夫婦二人の時間よりも家族で過ごせる時間を
優先させてきた。
久しぶりの夫婦の時間が
息子とお別れをする日とは。
不思議な巡り合わせだ。

病院では小さな部屋に案内された。
入院の時とても優しくしてくれた看護師さんが
来てくれた。
顔を見た瞬間泣いてしまった。

そのあと火葬の業者さんが来てくれた。
小さな赤ちゃん用の立派な棺。
ふかふかのお布団がひいてあり
周りに可愛らしいレースもついていた。

看護師さんも一緒に、息子を送る準備をした。
用意していた虹色のガーゼと小さなお布団。
お布団は二重になったので暖かそうだ。
折り鶴と手紙、家族写真。
看護師さんも小さな折り鶴と
可愛いシールを用意してくれていた。
お布団の上にシールをぺたぺた貼る。
スプレー菊はお花の部分を切って
息子の周りに沢山散りばめる。
最後に、退院の日に娘が持ってきた花束の
ピンクの花びらを散らす。
これできっと息子も寂しくない。

息子と最後の時間を過ごす。
もう一度だけ頭を撫でる。
バイバイして、業者さんに息子を預ける。
明後日の午前中に火葬をするとの事だった。
業者さんと看護師さんにお礼を言い
病院を後にした。

しっかり送ることができて良かった。
夫も私もすっきりした気持ちだった。

久しぶりに夫と二人でランチに行った。
二人でちゃんとしたお店に行くのは5年振りだ。
夫婦だけの頃、記念日ごとにリッチなお店に行き
お会計を見て「お金使い過ぎやろ!」と
笑うのが楽しかった。

この時間は息子からの
ささやかなプレゼントだったのかもしれない。





























この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?