その土地に文化が根付くことで開く花
「山ノ栞」というサブレを30年近く製造、販売してきました。
少々、もろく割れやすい生地ですが(笑)、私の自信作です。
昨年春に東海環状線の御嵩可児インター近くにある恵那川上屋咲久舎店の裏に、サブレのライン工場を建設し、稼働が始まりました。
このサブレ(山ノ栞)は製造工程で割れることは稀なのですが、店に搬入する度に数枚割れてしまいます。
悩みに悩んだ挙句、味を優先するために配合は変えず、今も製造しています。
販売開始当初。
割れたサブレを手に持ち、店の販売員が「捨てるのがもったいないので、小さな子供に差し上げてもいいですか?」と相談してくれ、それは名案と思い採用しました。
それから20年くらいの間、その事はすっかり忘れていました(笑)。
ある時、急にサブレの製造が追いつかなくなりました。
よくよく考えてみたら、すっかり忘れていたその行為が20 年続いていたことで、当時サブレを渡した小さな子供たちは大人になり、その時のサブレの味を覚えてくれたことで花が開いたのだと気づかされました。
その土地に文化が根付くことで花が開くと気づいたことで、他地域にも「素材を生かすサブレを提供してはどうか?」という議論となり、そのサブレを製造する工場名を「旅する山ノ栞」としました。
【旅をして、読みかけの本を読み、その地で葉を栞にして、また旅に出る】
そんな情景をサブレに託し、色々な産物を持つ地域素材をその場に返すことを目的にしています。
「飛騨高山高原サブレ」という山ノ栞は、ほうれん草など地域の特産を生かして製品化し、関わりのある販売者と一緒になって盛り上げていくために製造しました。
現在進めているのが、愛知県の津島サブレ、覚王山サブレ、世田谷サブレ、美濃市のハッパスタンドと共同開発したほうじ茶のサブレまで、第一加工で自社製粉した素材の粉を加え、そこに栗の粉も加えてあります。
私たちが目指してきた「栗のブランド化」から生まれた資源をこれからは地方の産物を使い、地方で販売する仕組みに入っていきます。
それぞれの「旅する山ノ栞」は、可児御嵩のお店でもお買い求めできるようにしておりますので、近くにお越しの際は外からの工場見学を兼ねてお越しいただけたら幸いです。
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