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ゴッホの生涯


1853年3月30日 オランダ南部ズンテルトで生まれる。父と祖父は牧師。

幼い頃から癇癪持ちで、小学校になじめず、8歳から家庭教師をつけて家で勉強するようになる。中学校も不登校。

16歳のとき、おじさんが、絵が好きなゴッホにグーピル商会での画商の仕事を紹介し、就職。下宿先の娘さんに一目惚れし、付き合っていないのに結婚を申し込んでフラれる(当たり前)。そこから勤務態度が悪くなり、23歳で画商をクビに。

聖書にのめり込み、牧師になろうとするが、神学部の入試はギリシア語やラテン語などの教科が必須で、中学校中退のゴッホは努力するも挫折。その後、伝道師の助手として一時期働くが、その仕事もクビに。

27歳の頃、弟のテオから「一番望んでいる道に進んでほしい」と手紙と仕送りをもらい、画家になる決意をする。(その後、テオからの仕送りはゴッホが死ぬまで続く)(いい弟すぎる…)

33歳のころ、いきなりパリにいるテオのところに転がり込む。(それを受け入れるテオが本当にいい人すぎる…) 浮世絵にハマり、「絵の中に影がないということは、日本は光溢れる南国に違いない」と勘違いし、南フランスのアルルに移住(テオの金で)。「ヨーロッパの日本であるこのアルルで、画家の共同生活を営む理想郷を作ろう」と黄色い家を借りる(テオの金で)。画家仲間を、共同生活をしようと誘うが、誰も来ない。(思い込みが激しいゴッホは、周りの人たちと人間関係が上手に築けなかったようです)(なのになぜいきなり一軒家で共同生活をしようとする…)

「黄色い家に画家仲間が来ない」と嘆く兄のために、画商のテオがパリの画家達に頼みこみ、「アルルでの生活費はすべて持つし、アルルで描いた作品はすべて買い上げる」というテオの条件でゴーギャンがアルルに来る。

ゴッホとゴーギャンの共同生活は2ヶ月で破綻し、ゴッホは自分の耳を切る。精神錯乱のため精神病院へ。退院するも、アルルの住人から恐れられ、再び精神病院へ。

この頃から少しずつ世の中にゴッホの絵が認められはじめ、1作品売れる(生前売れた唯一の作品)。

37歳でピストル自殺。(他殺説あり)


…なんだろう。ほんとにゴッホの生涯って救いがない…。

なんで売れ始めた時期に死んだのかはいまだに不明だそうですが、絵が売れたこと、世間から評価されたことへのプレッシャーを苦悩する手紙が残っているそうで、

だから、ゴッホの場合、「売れたら幸せになる」わけじゃないんですよね…。(売れなくても不幸だけど、売れても不幸)(不幸になる才能ダントツに高い)


というか。

客観的に見れば、

「ずっと仕送りをしてくれる弟がいた」

だけでも、同時代の売れない画家仲間よりは、相当幸せな境遇にいる人です。でも、「不甲斐ない役立たず」と自分のことを苦悩していた。

付き合っていない人に結婚を迫ったり、画家仲間と共同生活をしようとしたり(特に人望があったわけでもなく、他人の生活を保障できるだけの財力があったわけでもなく)、

たぶんそれで「オレはダメ人間だ」という信念を強化しちゃったんだろうけど、

普通の人がやっても普通にうまくいかないだろうことをやって、普通にうまくいかなかっただけの話な気が。


「幸せになる力」って、ひょっとしたら、才能なのかもしれない。

ゴッホに足りなかったのは、幸せになる才能だったのかもしれない。(客観的には、決して不幸じゃないし、むしろ条件としては恵まれている)

自分に与えられているものに気づく力。そこに感謝する力。

(ただ、父方にも母方にも、精神疾患の人がいっぱいいる家系のようなので、家系的に幸せになる才能が乏しかったのかも)(モデルを見てなきゃ学べないしなぁ)


いい人すぎるテオは、兄の死に錯乱し、精神病院へ送られ、半年後に亡くなっているので、

兄に全部吸い尽くされたともいえるし、

命をかけて兄を支えたともいえるし、

テオがいなかったら、間違いなく今日のゴッホはいないので、

天才を支えるのって、ほんとに命がけなんだな、と思います。(メディチ家のように、アホほど財力がある人達が芸術家のパトロンやるのは別ですが、一般庶民が働きながら天才を支えるのは命がけですね…)


とはいえ、「夜のカフェテラス」を描いていたアルルの時代は、

ゴッホの人生の中で珍しく幸せだった時代なので、

「夜のカフェテラス」や「ひまわり」は良い絵だなぁと思いますし、見ていて幸せです。(その後の人生の痛ましさはあるにしても)


どうしたらゴッホは幸せに生きられたんだろう。

とも思うのですが、逆に、

幸せだったら、苦悩がなかったら、きっとゴッホは普通に幸せな一生を送って、絵を描かなかったように思うので、(牧師の夢が叶っていたら、その前に、好きだった女性と結婚できて幸せな家庭を築けていたら)

なんとも複雑です。

幸せな天才って、存在が難しいんだろうか。(ルネサンス期の巨匠達って、人格は置いといて、なんか幸せそうなんですよね…。大パトロンがいたから?)(最後は金?)(いやでも、近代でもルノワールやクリムトはなんか幸せそう)(最後は性格?)


幸せになる才能って、どうやって磨くんだろ。

ちょっと考えてみたいと思います。









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