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こころから湯気。


朝起きて、なーんだ思ったほど寒くないじゃん、と思う。
外の気温は0度を示していたけれど、想定内だ。

コーヒーをドリップしているときに、ちょうど朝日が部屋に差し込んできて、コーヒーの香りと立ち上る湯気の白、使い込んだ樹脂のドリッパーの琥珀色の輝きに、思わずうわぁ、となる。


長男の様子がおかしい。

確かに昨日から風邪気味ではあったけれど、それにしてもちょっとおかしい。
ふだん淡々として基本元気なだけに、こういう勘は、たぶん間違っていない。
無理しなくていいよ今日は休みなよ、というと、しばらく迷ったあとに、部屋に戻っていった。



今日はちょうど予定のない休みで、朝からどこか行こうかな…なんて考えて、昨日の夜、2階だけでも…とめずらしくせっせと掃除をしていた。
そしてここ最近、私が朝家族を送り出せるのは、平日5日のうちわずか1日しかない。

あ、と思ったのは一瞬で、今朝自分が家にいて、彼に休みなよ、と言ってあげられたことをありがたく思った。
たぶん私がいなければ学校に行っていたと思う、夫もそう言っていた。


でも休んだ彼は鼻をずるずるさせながらも元気そうで、私は1階を掃除して、ほんのすこしのクリスマスふうの飾りを壁に吊るして、それからタイミングは今日だ、とリビングにこたつを出してから、買い物に出かける。

近くの山は燃えるようなオレンジで、いつのまに…本当に驚いてなんだろうこれ、ちょっと泣きそうになる。
周囲の山の連なりには、ちょうど今できたて、というように、山頂付近に粉砂糖のような雪。


午後、二人でこたつに入ってそれぞれ過ごす。 
ゲームしてる、いつもどおりでよかった、明日から期末テストだけどまぁいいや、元気なら。
私は熱々の紅茶を大きなマグカップに入れてすこしはちみつを混ぜて、本を持つ手と身体のあいだ、ちょうどあごの下あたりにおいて、ふーふーちびちび飲む。
こうすると、顔にスチームのように湯気があたって気持ちがいいことを発見した。

南の窓から明るい光が差し込んで、こたつと湯気はほかほかとして、こころからほかほかとして、あぁ今日のことを覚えておこう、と思った。


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