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新たな挑戦として学びの場を作りたいと思った理由④~成長の真実の瞬間~

”楽しい”だけは成長の場ではない

この書き方をすると語弊を招くような気がしますが、
成長の段階に応じて、場は作っていくことが必要なのではないかというのが大前提になります。

まず基本的にはその学びの場、あるいは集まれる場は”相互の自由尊重”が前提であり、そして前向きなベクトルが集まる場でありたいものです。
楽しい・居場所になる・自分から足を運びたい
タメになる・何かを得ることが出来る・あの人に会えるからそこに行く

そんな前向きな力が集まった場は、どんな可能性が秘めているのでしょうか。考えただけでもワクワクしますね。

私はこういう場づくりを本気で目指し、通信制高校のとある学習センターをこういう場づくりにしていきたいと本気で取り組んでいました。
こうした場づくりに、大事な要素は「キーマン」を作ること。
ラッキーなことに、私は当時この学習センターの中で、所謂”生徒会”に当たる組織の顧問というか担当となることができました。
これは本当に大きなチャンス。
なぜなら大きな転換は、まず小さな同士づくり、仲間づくりからスタートすれば、いずれ大きなうねりになっていくことを経験則で知っていたからです。そしてある程度生徒の自主性に任せ、環境や役割を子どもたちに預け、そして最終的な判断が必要な部分(経費が掛かるとか、日程を調整が必要など判断が高度になったもの)以外は、かなり大胆に任せていきました(これはもう少し時間が経過してからの話ですが)。

そして運営上の主要メンバーには、まず第一目標として、
「まずこの組織を周囲から参加したいと思われるような、楽しい組織にしていこう」
これだけを伝えました。

しかし、その途中段階で主要メンバーの一人から相談がありました。
「参加したいと思われる組織になっていく段階に、”楽しい”はものすごい大事な要素だと思います。でももしかしたら楽しいだけじゃなくて、居場所と感じれるための要素って他にもあるんじゃないかなって思えてきて、今少しどうしようか迷っています」

なんて素晴らしい問いかけ、そしてこれが次の段階を考える成長なのかと、今でもその当時のその質問を鮮明に覚えています。

私は、こういう質問・相談については、やる手法は一つ
「どう思う?」「どうしたい?」
そして、
「そのためにはどんな手助けが必要?」
そして、最後に
「物事は、トライアンドエラー!まずはやってみよう!」
です。※これが自分自身の行動でも出来ていればいいんですが、教職についている人あるあるなのではないかと思うのですが、子どもたちには言えていることが、なかなか自分では実践できていないということです(笑)←いや、自分だけかもしれませんが(笑)

高校生の子どもたちは、既に自分たちを喜ばせる「自喜」という観点から、他の人を喜ばせる「他喜」という観点に既に成長の段階が変容していたようです。
※ただ更にこれを突き詰めていけば、最終的に「他喜」は「自喜」に返ってきます。でも人は自分のためだけの力の発揮よりも、他人のためへの力の発揮の方が、本当にすごい力を発揮することが往々にしてあります。

「大変かもしれないけど、みんなが本当に参加したくなるイベントの運営をやってみたいです」
ここが大きな分岐点だったかもしれません。そこで私は、組織の目標を変える話をしました。
「この組織を周囲から参加したいと思われるような、楽しい組織にしていこう」
から
「この組織を周囲から参加したいと思われるような、憧れられる組織にしていこう」
への転換です。

ここで、教育の段階でも、組織を作る際に参考にしていたのが、タックマンモデルです。

タックマンモデルには結成から解散に至るまで、組織の状態に応じて5つのステージが設けられています。その5つとは、形成期(Forming)・混乱期(Storming)・統一期(Norming)・機能期(Performing)・散会期(Adjourning)です。

タックマンモデルとは?5つの段階と活用方法を紹介【ワークハピネス Style】人材育成・社員研修など組織開発コンサルティングの株式会社ワークハピネス (workhappiness.co.jp)


タックマンモデル

ちょうど、混乱期から統一期・機能期を迎えていく段階。これをどの段階に当てはまるのかなど、そしてこの段階を迎えるにはどういう声掛けがいいかを考えながら、運用していきましたが、私は目標の変更を子どもたちから気づかされるいい機会となりました。
※教育の現場にも、社会人で活用しているフレームワークは活用できるものが非常に多く、どのように応用させて、子どもたちに転換させていくかによって、効果が出るものと思います。


本気で”考え抜く”、本気で”挑戦する”

そこから子どもたちの組織は、”挑戦”がテーマになっていきました。
時間をかけて話し合う
議論がかみ合わないこともしばしば
そこから生まれてしまう対立も何度か発生しました。

ここでいつも私が入って話をしなければならないタイミングになるということはただ一つ。

この組織の目的・目標って何だっけ?

これだけです。
※目的と目標についても、その違いは触れたのですが、ここでは割愛します。またどこかのタイミングでこのことについても書いてみたいと思います。

手段の目的化、目的のすれ違い、見失いから発生する脱線は、大人でも起こりうること。ですから私が言うのは、常に「目的に立ち返る」ことだけなのです。
今でも卒業生と話になったときに言われるのが、
「enya先生の『今この組織のメンバー…憧れられる存在になってるかなぁ…?』は、本当に嫌だった(笑)」
「『多少の怪我…そうだなぁ捻挫くらいは、OKだけど、大きい怪我…骨折レベルになる場合は修正するよ?そこで問います。目的はなんでしたっけ?』は、あ、この先生ケガさせてくるんだって思った(笑)」
だそうです。でも、そのふとした気づきが、軌道の修正につながるのです。
大事なことは、目的を忘れないこと。

そして、このチームのメンバーの素晴らしかったことは、”本気”だったことです。数多くの色々なイベントに取り組んでくれました。
・文化祭の在り方
・新入生歓迎会のやり方を変える
・ホームルームで発表する時間をもらう
・生徒による発表会の場所を考える
・生徒主体のスポーツイベントを検討する
・職員会議に参加して発表する
・地域との連携のイベントに参加して、商いを経験する
・街中で該当インタビューに挑戦する
これ、私の一部メモなので、もっともっとたくさんありました。
改めて発想力と本気度に脱帽です。

そして、なによりも地域貢献の観点から、商いを経験したその力には、単なる”楽しい”だけでない、様々な力が養われたものと思います。

そしてこの子達、実は全員最終的に大学・もしくは専門学校へ進路決定しているのです。つまり教科学習は教科学習としてしっかりと実践し、これだけ多くの取り組みに参加しながらも、やるべきことをやっている。
いやむしろこうしたことに参加したからこそ、つながっている結果ともいえるのではないか。

ここに私は学びの場、組織作り、そして居場所づくりの可能性を本気で見出したのです。今でも卒業生から、
「また面白いことやりましょうよ」
「あの時代が懐かしかったです」
「あの頃が一番学生時代で楽しかったかもしれないです」
さて、毎回この言葉を聞くたびに奮起しなければと思います。

きっと本気で考え抜く、本気で挑戦する
そうした場を安心安全なものとして、整えてあげることが出来れば、きっと素晴らしい活動が行えるものになるのだと思います。

成長の真実の瞬間

きっと毎日転がっているはずなのですが、その場をどう整えてあげるのか。
そしてそれを自身にどう「成長実感」「達成実感」を持ってもらえるのか。
オンラインがコロナ禍によって加速した今だからこそ、改めて
「対面の価値」
「オンラインの価値」
を考えながら、
成長の真実の瞬間づくりに寄与できないか。

まだまだ頭の中身の解像度を上げていく作業を続けていきます。

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