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指導の引き出し⑥〜第三者話法の使い方〜

今回は、会話テクニックなんでしょうね。指導の場面でも、何かを伝える際にも多用している(恐らく日常的に)ことを改めて整理してみたいと思います。

色々な場面で応用することもできる内容にしていけるよう、是非参考までにご一読いただけると幸いです。

第6回目のテーマとしては「第三者話法の使い方」
※イラストはテーマと関係なさそうですが、「あ!いいな!」と思って使用させていただきました(笑)

「第三者話法とは?」

まずそもそも「第三者話法」の定義から、確認してみましょう。

第三者の意見を紹介することで、非常に信憑性が高まり、説得しやすくなる話法を『第三者話法』と言います。

「あの有名な〇〇博士もそう言ってたよ」
「他の人も使ってたよ」
「これ他のお客様からも大変人気の商品なんです」
「8割以上の方はこちらを選ばれますね」

こんな風に言われると、「他の人もそうなんだー」とちょっと安心しませんか?簡単に言うと、これが第三者話法です。

第三者話法 - プロの心理学 (pro-shinri.com)

いわゆる、直接その人から言われるよりも、他の人が入るということで、その言葉の「信憑性」が高まります。

なぜ、信憑性が高まるのか?

次のポイントがあるからです。
①「第三者話法」の時点で、既に”複数名”の知見が入っている(『数の論理』に近い?)
②”第三者”の権威・背景を利用することが出来る(権威付け)
③より”客観性”をアピールすることが出来る

まず①は例を使うと、
 「(私もそう思うけど)、あの〇〇先生も凄いって言ってたよ」
ということになる。つまりカッコ内の部分が実は既に入っている。
凄いと思っているのは、私(話者)と〇〇先生、既に2人からの評価がここには内在されているのです。「…みんながそういうなら…」の状態ですね。

②については”第三者”が、相手にとって「どのような存在であるか」によって、大きく効果が変わります。いわゆるプラスの存在であるか、マイナスの存在であるか。ですね。
「(書道の専門家、実際に字が上手いと感じているであろう)あの書道の先生が、あなたの字がとてもきれいって褒めてたよ」
というような、実際に触れあったことのある人、近い存在でのプラスになる存在の場合や、
(話者が、ずっと大好きで聴き続けているミュージシャンを使い)
 「〇〇も歌の中で『●●●●』って言ってるんだから、大丈夫だよ、きっとうまくいくよ!」

というように、その相手にとって遠い憧れの存在や、
「(ある研究での第一人者の)〇〇さんが出した本でも、同じ内容のことを言ってたから、その考えは間違ってないよ!」
というように、人ではなく発表したもの(本・研究・論文)なども活用することが出来ます。

③は、①の内容と関連があります。会話には、話者の”主観”が入ることはいわずもがなです。決して主観だけが悪いことではないのですが、そこに客観が入ることで、伝えたいことの性質が変わります。受け取られ方が変わるという方がより良いでしょうか。
主観のメッセージは「意見」「提案」「主張」を受けて”解釈”される
客観が含まれると「(かなり近づいた)事実」として”判断”される

非常に哲学的な領域に入っておりますが、上述のような変化が見込まれます。

「信憑性」が高まれば、その言葉によって、相手の「行動変容」や「心情変化」を促すことがやりやすくなるかもしれませんね。


上手く伝わらない「誉め言葉」

少し話題を変えますが、また元に戻ります。
教育の現場では「誉めるのって難しいですね」ということをよく耳にします。これも深掘りして考えてみましょう。

「『誉めること』の何が難しいのでしょうか?」

この質問をすると、傾向として
①どこを誉めていいのかわからない(視点)
②どのように誉めていいのかわからない(方法)
が、挙げられます。

指導者側は、やはり「指導する意識」から、更なる改善・成長を促したり、または集団規律・ルールの順守をさせるなど別の要因が頭に入ることが多く、「注意する」傾向が強いのだと思います。そうすると
・「視点」が”注意する”傾向に偏ってしまっている。
・普段から誉めることを実践していないので、言葉・タイミングなどの「方法」がわかりづらい、経験が少ない状態になってしまっている。
ということは言えるかもしれません。

「日本人は誉めることは苦手」というのはよく言われていますが、こうしたことも先の内容が言われている原因とも言えるでしょう。

ただ「誉める」ことには、自分自身にとっても多くのメリットがあります。

【相手を長所側から見ることが出来る】
相手の変化にも気付くことが出来るアンテナを強化することにも気付けるようになることや、別の視点から観察することが出来るようになります。つまり「多様性の理解」の促進が進むことにつながります。

【表現力の向上】
ただ単に「誉める」といっても、結果をだけでなく、その過程・プロセスをなどについて、どのように表現するのが、相手に「伝える」から「伝わる」のかを考える良い事案が”誉める”ということです。”すごいね”だけではなく、何がすごいのか、なぜすごいと思ったのか、どの視点ですごいことなのかを伝えることには、表現力を高めることが必要になります。

【自身のマインドセットが前向きに】
自身の出した言葉によって、周囲に良い影響を与えることが出来れば、それは、やりがいや自己肯定感の向上にもつながります。自分を前向きにさせるために、他者を前向きにさせていくことを実践し、それが出来ている結果がが目の前に少しずつでも出てくれば、結果的に自分が前向きになる。こうした良いサイクルが出来上がっていきます。

【関係性の円滑化】
簡単に言うと、「誉められて、嫌な人はいませんよね?」です。誉められ方はありますが、受け手が「ここを見ていてくれたんだ」という認識を持ってもらえることに繋がれば、的確に褒めてくれる人がいるその環境下で、また頑張りたい!と思われ、成長も期待できます。

このメリット面を活かさない手はない!
そうしたことから、「誉める」ということにも、意識的に
「第三者話法」
を使っていました。ただし、ここに私は「アイ・メッセージ」も付け加えます。つまり「私は…と思う」という自身の考えも乗せます。


まずは「誉める」ことから「第三者話法」の練習を

先程もお伝えしましたが、
「日本人は誉めることは苦手」とよく言われています。
その理由に、「日本人の”謙遜の文化”」があります。
この文化自体は、私は素晴らしい文化だと思っていますが、物事にはやはりメリット・デメリットがあります。

この”謙遜の文化”で、起こり得る事例では、

なにか相手に対して、誉めた後に…
「いえいえ、そんなに大したことはないですよ」と言われる、とか
お世辞を言われたと思われていないだろうか…?とか、
そんなに大した人間じゃないのに、ここで誉められるのは何かある?とか、
まぁ素直に受け止められないことを想定しますよね

”謙遜”という言葉は、マイナスの方で発展させてしまうと、
「自己否定」「卑下」
などになりますでしょうか。

だからこそ、”謙遜”を超えてしまうように、相手に伝わるやりやすい形であれば、「誉める」が実践しやすくなる。
実践しやすい方法は…「第三者話法」を使ってみよう!
という思考のプロセスになったわけです。

第三者話法には「ウソ」はいけません。あった真実を、しっかりと伝えていく。ということは、色々な人から意見や感想を聞くことがたくさんあれば、「第三者話法」を使える”ネタ”増やしになる。
これが更にコミュニケーションの量を増やすきっかけにもなりました。

(enya)
この前、Aくんから、「フットサルのポジショニングがわからない。どうやったらBくんみたいに出来るのか、知りたい。あの試合の時も、すごい上手く動いてたから、すごいなぁ」ってさ。せっかくそんな話があるんだから、私もそのAくんのポジショニングの上手さが、チーム全体に広がれば、もっと強いチームになると思うから、まずはBくんから話してくれない?頼むね

実は、AくんとBくん、まだそこまで関係性が強く出来ていませんでした。
でも、これをきっかけに会話が始まり、そして最終的にこの二人が、そのチームの中心人物として動いていきました。

私はこの事例の意識したポイントは2つ
①Aくんが話していた事実(誉める・認める)を、しっかりとBくんに伝える。
②私自身も、Aくんの上手さを認める(アイ・メッセージ)
です。
※実は、他にもこのセリフには『指導の引き出し』として活用している「役割は成長へ」や別の方法もいれています。
(別の方法に関しては、また後日紹介しますが、気になる方はコメント欄に!(笑))

我ながら、狙ったタイミングでの、声掛けで、ここまで上手くいくとは!という本当に嬉しい事例です。でもこれ何気ない日常で出来ることなんです。

私は、いままで恐らく1500人近くいや、もっとかもしれませんが、担任をしたり、教育相談・進路面談・就職面談を高校の中で行ってきました。
そのなかでも
「enya先生に、誉められたいんだよね」
「enya先生から言われると嬉しいんだよね」

という生徒からの声をもらうことがありました。

これからの時代、教員、あるいは上司は

いかに、その相手がモチベーション高く、前向きに取り組めるかという環境や状態を整えてあげることが出来るスキル

が本当に必要なります。これは個人的にはまだまだAIに負けてはならない領域、つまり非認知能力だと思っています。

まずは「誉める」こと!
そしてそれをやりやすい「第三者話法」にトライしてみること!

是非参考にしてみて下さい!
※ちなみに「第三者話法」はさらに応用して活用することもできます。それもまた今後、ご紹介していきますね

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