指導の引き出し⑥-2〜第三者話法の注意点編〜
以前、「第三者話法」についてお話をしました。それがこちら↓
最後に予告した「応用」について、今日はご紹介していきます。
こちらについては、使い方には気を付けて「注意点」になります。
前回は「第三者話法」の活用ということで、その効用や、使う場合を
『誉める』というところから考えてみました。
『指導の引き出し』がテーマなので、相手の行動変容や心情変化などをプラスの方向に持っていければいいという方向性で話をしています。
ただ「第三者話法」は、色々な使い方も出来ますし、使い方を間違えればマイナスの方向に行動変容や心情変化をさせてしまうことも容易です。
それを今回は応用編ということで、お伝えしていきます。
この「第三者話法」は嫌われます。というか嫌いです。
突然ですが、私は物事をはっきりと言ってしまう癖があります。
納得のいかないものなどに対しては、忖度なしでストレートに訊ねます。
「この流れ、意味が分からないのですが、どういうことですか?」
「まずこの提案になったベース・根拠を教えてほしい」
※『質問力』という大事な力になると思いますが、これについては自身の振り返りも含め、また別の記事で考えていきます。
さて、こうした質問をしたときに、私が一番嫌いな返答。
それが「第三者話法」のマイナスな使い方です。
「第三者話法」には「信憑性が高まる」という効果があるという話は、前回しましたが、その理由に
①”複数名”の知見が入っている(『数の論理』に近い?)
②”第三者”の権威・背景を利用することが出来る(権威付け)
③より”客観性”をアピールすることが出来る
があることも併せてお伝えしました。
言い訳・弁解などをする場合に「第三者」の力を借りる。
自分の論理が破綻しそうなときに、客観性をアピールする。
などです。
少し事例を教育の面だけでなく、仕事の面などからでも見ていきましょう。
この報告を聞いたら、おそらく即質問します。
「その慣例は、現在も適用されるものですか?」
この主張は、「今までの風習」という文化・社風・歴史という「第三者」を使って、自分の主張を補強しているだけにしか聞こえません。
その目的の目的は?と問いかける
さて先ほどの例の場合をご覧いただいたうえで、改めて考えてみます。
「第三者話法」というと、”人”を使うイメージがあると思いますが、私の定義では、人が介在しているものも含むとしています。そこには、組織風土・慣例・歴史・経験などもあるかと思います。
こうした事例、本当に多いです。たくさん聞きます。
例えば…、新入社員が先輩社員に質問をして
「今までもそうやってきたから」という補足
「ここの組織はそういうものだから」という説明。
少し言葉は悪くなりますが、
自分の主張・提案・意見、あるいは説明に自信がない、あるい破綻があるとわかっている。そうした場合に使用される「第三者話法」は無意味です。
むしろ、それを使用した時点で、私の中で一時的に信用度はがた落ちします。
ここで一番大事なのは、
「第三者話法」を何の目的のために使用しているか?なのです。
大事なのは、目的です。
「信憑性を高めること」のために「第三者話法」を使う。
「相手の納得度を上げる」ために「第三者話法」を使う。
ここまでは、理解・納得できます。
ただ、改めて何度も何度もこの問いを立ててほしいと思うのです。
では、その「目的の目的」は何でしょうか?
こうした事例が本当に多いということも含め、私の悪い癖ですが、直球で問いを立てます。
自分の身を守ることは、生きていくうえでは大事。
ただその方法は、長い目で見たときに、整合性があると判断できるものでしょうか?それも自分にとってだけでなく、相手にとってもです。
怒られたくない・詰められたくない・自分の主張を必ず通したい・致し方ない状態であることを理解してもらいたい…
心情は理解できますが、果たしてそれは健康的な判断のもとでしょうか?
人は、失敗から学ぶこと、あるいは、心情的には避けたい経験から知見を得ることもあります。真摯に対応することが、次のステージに上がるための材料なのです。
だからこそ、私は「第三者話法」に必ず
「アイ・メッセージ」を乗せることを意識しているのです。
それがない場合、もしかしたら「自分の身を守ることだけ」を考えてないか?と自分を疑うようにしています。
自分の意見・主張・提案には、やはりその内容には「責任」が存在します。
その責任の少しでも軽くするために「第三者話法」を使うこと。
それは行いたくない。そしてそういう事例があった場合、やはり「信用度」は一時的に落ちてしまうのです。
何故ならば「この人は(自分の発言に)責任を取らない可能性があるかもしれない」と判断されてしまうからです。
要点をまとめます。以下内容を参考にしてみて下さい。
色々なテクニックには、メリット・デメリットがあるものです。
その上で大事なのは、
テクニックに走ることを「目的」としないこと。
つまり、手段の目的化をしないこと。
そして、その目的は何かという視点。これを意識すること。
こうしたことを意識しながら、効果的に使っていきたいものです。
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