打っても響かない太鼓をうちつづけている。
虚しい心で。
打っても響かない太鼓をうちつづけている。
強かな心で。
今日も必死で生きている。そうだろう?
少なくとも私は必死で生きていると言い聞かせる。言い聞かせる。言い聞かせる。
この太鼓は浮きにもならない、
溺れぬよう、自分で泳ぐしか無いんだ。
だが、太鼓は辛うじて、プカリプカリ水面を漂うくらいは出来るのだ。
私を助けられはしなくとも。
打っても響かない太鼓を打ち続けている。
打っても響かない太鼓を打ち続けて散る。
それならばいっそ
その太鼓は太鼓ではなく籠にする。
籠がある、そこに救いがあると気付く。
虚しさをいれる、太鼓は受け入れる。
哀しさをいれる、太古の記憶までも。
時には魚を入れよう、生命は命が紡ぐ。
この歯で砕き喉を通り血肉に還る。
その籠の中には、加護がある。
神は心のなかに在る。
太鼓は響かない。
そもそも太鼓は太鼓ですらなかったのかもしれない。
太古の昔から、ずっと
打っても響かない太鼓を打ち続けている。
もう長きに渡り漂流している。、溺れかけながらも必死で泳いで生きてきた。
私は太鼓の扱い方を覚えただけだ。打っても響かぬ、穴の空いた太鼓の。
両面空いてしまうとき迄には、何とか生き長らえるだろうか。