歪みのはじまり1〜なるみちゃん〜
僕の性癖を歪ませた小学校
僕の小学校は間違いなく荒れていた。
『小学校』というよりかは『僕のクラスの女子が荒れていた』と言ったほうが適切かもしれない。
どちらにせよ、かなり行儀が悪い女子が多かった。
行儀良く育てられた僕は、そんな女子達にかなりの違和感を覚えることになるのだった…
可愛いデコ出しのなるみちゃん
毎日デコ出しの髪型で、元気で明るい女の子がいた。
その子の名前はなるみちゃん。
『彼女以上にデコ出しで可愛い女の子は存在しない』とさえと思うほど、本当に似合っていて可愛かった。
そんなに惚れ込んでいた僕だが、好きだという気持ちは芽生えなかった。
きっと高値の花だと無意識に悟っていたのだと思う。
彼女は誰に対しても友好的な性格だった。
可愛い子による常識外の行動
教室は普通の広さだったと思うが、席と席の間はあまり広くなかった。
椅子を出すとすぐに後ろの机に当たるような間隔だ。
だから席と席の間を通ろうとする際、もし椅子が出しっぱなしだと椅子が邪魔で通ることができない。
それなのに、椅子を出しっぱなしにする人が多かった。
椅子に塞がれたその間を通る際、ほとんどの人は椅子をしまってから通るか、跨いで通っていった。
だけど、なるみちゃんは違っていた…
ある日、たまたま僕が彼女のことを見ていた時の出来事。
彼女が席と席の間を歩く先に、男子の席の椅子が立ち塞がっていた。
彼女は元気だから跨いで通るのかなと思ったが、僕の予想は大きく外れた。
バンッ!!
(椅子を踏む音)
彼女は上履きのまま、出しっぱなしの椅子に踏み乗り、そして踏み超える形で通って行ったのだ。
当然のように椅子を踏んでいたので、おそらくこれが初めてではなかったのだろう。
踏まれた椅子は、白い靴跡で汚れていた。
僕はその常識外な光景に唖然とし、強大な違和感に襲われた。
(なぜ誰も彼女に注意しないんだ…?)
(なぜ彼女はそんなに酷いことが出来てしまうんだ…?)
僕は自分の椅子も汚されてしまうのではないかと思い、彼女に苛立ちの感情を覚えた…
可愛い子に敗北するということ
彼女が習慣的に椅子を踏み歩いていたことを知ってから、僕は彼女に注目していた。
別にわざと椅子を踏んでいる様子はなく『通ろうとした先に椅子があるから踏んでいる』という様子だった。
その椅子が、男子のものでも女子のものでも関係はなかった。
椅子が汚されることが許せなかった僕は、勇気を出して彼女に注意をした。
「椅子踏んだら、汚れるよ」
「…」
彼女は少し黙った後に、僕にこう言った。
「…だって出しっぱなしの椅子、邪魔だもん」
その後僕は何も言えず、彼女は立ち去ってしまった。
正しいことを言っているのは僕なのに、言い包めらたことがとても悔しかった。
僕の行動も虚しく、それ以降も彼女は椅子を踏み続けた。
違和感を感じるクラスメイトと新たな脅威
日が経つにつれ、教室に違和感が流れ始めた。
数人のクラスメイトが、ときどき自分の椅子に白い靴跡がついていることに気づき始めたのだ。
それを見て悲しい顔をする人や、周りを見渡す人、手で払う人など、人によって反応は異なっていた。
僕はそれを見て、より彼女のことが許せなくなった。
もう一度彼女を注意しにいこうか迷っていた時、また誰かの椅子が踏まれてしまった。
バンッ!!
(またなるみちゃんが椅子を踏みつけたのか…)
そう思いながら音のした方へ目を移すと、そこには男子の椅子を踏みつけるななみちゃんがいた。
バンッ!バンバンッ!!
ななみちゃんは『踏んでやったぞ』というような満足気な顔をし、数回椅子の上で足踏みをしてから通り過ぎて行った。
椅子は真っ白な靴跡で汚れていた。
もう手に負えない…
なるみちゃんだけでなく、ななみちゃんまで椅子を踏み始めたのだ。
彼女たちを許せなかった僕は、卒業間際まで彼女たちと闘うことになるのだった…
(歪みのはじまり2に続く)
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