あなたの為という呪い
今回は、私のちょっとしたぼやきを書いていこうと思う。ものすごく偏見の塊になっているのであしからず。
他人から言われるアドバイスというものは、基本的には価値観の押し付けだと思う。
その押し付けられた価値観の中から、自分自身で選別をして、これは今の自分に必要なものだ。これは今まで考えはしなかった事だが一理ある。みたいな感じで受け入れていくのだと思っている。
だが、「これは貴女の為を思って言っているんだよ。」という言葉を使う人のアドバイスは、大概は聞かなくていいものだとも思っている。
どうしてだか、この言葉を使う人のアドバイスはとても集落じみた世界観で発言されることが多い気がする。女はこうあるべき、男はこうあるべき、みたいな。
かく言う私もこの言葉をよく使われていた。
18歳で水商売の世界に入った時に、お客様からたまにお説教じみたアドバイスをもらっていた。
「女なのだからもっとお淑やかになりなさい」とか、「服装はもっと清楚系にした方がいい」とか、「水商売なんかしてたら親御さん悲しむよ」とか。
これは、水商売を経験した女性なら一度は言われたことがあるであろう話だと思う。
こう言うお説教おじさんは一定数いるもんだ。
自分の娘と同じくらいの女を捕まえて、きつい下ネタを言い放った後によく真面目な顔して説教じみたこと言えるなぁ。とよく思っていた。
そしてお説教の最後は大体、「これは貴女の為を思って言っているんだよ。」というセリフが定番だ。
数年前に付き合っていた男にも言われたことがある。よく尽くしてくれる人だったが、その代わりによく見返りを求めてくる人でもあった。
自分がしたくてしていることだからと言って職場に迎えにきたり、私の部屋の掃除をして料理をして待っていたり、なんでもない日にプレゼントをくれたり。
一見とっても素晴らしい彼氏なのだが、それに対して私が対価を少しでも払わなかったら、お説教に見せかけた八つ当たりをよくしてきた男だった。
こいつも最後には「これは貴女の為を思って言っているんだよ。」と言ってきた。
もはやこのセリフは私の中では呪いのような言葉に聞こえてならない。
貴女の為を〜と言いつつ、それはきっと、発言した側の理想像から違うことをした時に発せられているものである。
何だか私は、その理想像からはみ出している部分を切り取られ、必要がないからと捨てられているように感じるのだ。
でもそのはみ出している部分が私のアイデンティティでもある。
女だけど酒もタバコもするし、麻雀も釣りも好きだ。清楚でお淑やかな女性よりも、『プラダを着た悪魔』のミランダの様な強くたくましい女性に憧れる。彼氏がいたとしても、自分の時間は大切にしたい人間だ。それこそが私のアイデンティティ。
もし、「これは貴女の為を思って言っているんだよ。」という人に遭遇した場合は「ご自分の為に生きてください。」と言っていこう。
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