FF16を8日で77時間プレイした男のレビュー
まずはじめに断っておくが、僕はFF14を好んでプレイしているが吉田贔屓とかはない。
そのゲームタイトルを開発してる人がどんな人か興味を持つ事はある。
しかし、例えどれだけすごい人がそのゲームを開発したんだとしても、それでゲームを好きになることはない。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというが、坊主が好きでも袈裟を好きになることはないということだ。
FF14でさえ、気に要らない所は見つけ次第Twitterで愚痴っているし、あくまでもファンではなく俯瞰的にゲームとしてどうかという思考をするように心がけている。
そんな考え方を元に、今回の記事では僕のFF16に対する率直な意見を書いていこうと思う。
とりあえず、FF16の端的な感想はこんな感じだ。
面白いか面白くないかで言えば、まぁ面白い。
神ゲー、良ゲー、クソゲーかで言うならば、中々良ゲー。
ハマったかどうかで言えば、死ぬほどハマった。
そんな僕だが、このゲームが完全無欠の神ゲーとは残念ながら思っていない。
その理由や根拠について、今回の記事で述べていく。
まだプレイしたことのない人は、是非参考材料の一つにしてもらえれば。
と言った所で、一旦「エルデンリングと比べてどうだった?」というのを書こうと思う。
突拍子もない話題の切り出し方ではあるが、これにはちゃんと理由がある。
巷では、FF16とエルデンの比較が話題になったこともあり、気になってる人もいるかも知れないからだ。
本作の内容に触れもせずいきなりと思うかもしれないが、FF16のレビューをするのに避けては通れないと思っている。
同じARPGとはいえ、違う会社の作った違うコンセプトのゲームを比べるのは些か野暮と思うものの、比較することでしか表現できない言い分もあるので思い切って書き記しておこうと思う。
とはいえ、僕の主観なので鵜呑みにはせず、これからプレイする人はあくまでも参考材料の一つとして考えてもらえるとありがたい。
エルデンと比べたら、どう?
昨今、オープンワールドというジャンルの歴史を揺るがすレベルのタイトルがリリースされたのは記憶に新しい。
大抵、後続作は失速していくシリーズもののゲームの中でも、最新作にして最高傑作となった高難易度APRG、エルデンリング。
過去作と同じジャンルでありゲーム構造も似通っているはずなのに、飽きを感じさせない洗練されたゲームデザイン。
オープンワールドという仕組みの良さや旨味を最大限まで引き出し、とんでもない売上と多くのファンを定着させた一大タイトルだ。
こんな説明も不要かもしれない。
そんなエルデンリングの偉業は未だゲーマー達の脳裏に深く焼き付いており、この度発売されたFF16の評価にも大きな影響を与えている。
与えてしまっている、というべきかもしれない。
それ即ち、同じくAPRGとしてリリースされた「FF16」の評価に、エルデンリングと比較した意見が多く含まれてしまう事態となったことだ。
その原因は、エルデンリングで味わった高難易度アクションの楽しさに魅了されたプレイヤーが、FF16で満足出来なくなってしまっている事にある。
そして、エルデンとFF16を比べている批評に関しては、FF16にとって概ね良い方向性ではない。
FF16が簡単すぎるとか、一本道で世界が狭いとか、そういう感じ。
もちろん、この二つのゲームは似て非なるゲームなので比べるべきではないという声もあるし、自分もそうだと思う。
まぁ、これらの賛否両論に関しては深掘りしても最終的には個人の主観が多く含まれてきて結論が出るものではないので、一旦置いておく。
ただ、優劣を決める以外の目的で、同じARPGとして比較、参照できる事はあるとも思うので今回はそこについて言及していきたいと思う。
難易度の指向性
まず、エルデンリングのバランス調整は『基本的に難しいけど、アイテムやスキルで難易度を下げていき、自分の丁度いいプレイスタイルを見つけていく』というもの。
それに対してFF16は『基本的に簡単だけど、オート系アクセを外して自分の腕で戦う事で難易度を上げたり、DMCライクなスタイリッシュプレイを目指す事で自分が楽しめるプレイを突き詰めていく』というもの。
難しいものを易しくするか、易しいものを難しくするかによってバランスの調整がそれぞれ行われている。
そのため、この二つのゲームタイトルはそういう意味では完全に真逆に位置していると思う。
なので、ゲームを渡されて「はい、楽しんでくださいね」と言われた時、FF16が簡単に思えるのはそれは当たり前のことなのだ。
また、ゲームシステムに依存しない難易度の上げ方の例として、攻撃を一発も受けずにボスを倒すという縛りを設けたとしたら、それはどちらのゲームも同じくらい難しいと思う。
つまり、システムとして用意されている難易度調整用のアイテムや機能を一旦無視して、ゲーム自体のアクション性とボスとの駆け引きのみに着目した時、案外どちらも同じくらい難しいと思うのだ。
これもまた、個人の主観やそれぞれのゲームのやりこみ度合いに依る話だとは思う。
なので、これ以上は言及せずに置いておこうと思うが、要するに難易度という観点で比べるのは難しいということを言いたい。
ちなみに、僕がマレニアを初討伐した時は、写し身を呼び出して遠距離から蝿たかりを撃ち続けることでノーダメージで倒した。
でもこれを「このゲーム簡単じゃん」と言い出したら、エルデンプレイヤーは怒るでしょ?
FF16も、オート系のアクセを付けたり強い召喚獣ぶっぱし続けてイージーなプレイを徹底した挙げ句にボス倒して簡単と言われても、まぁそうだねとしか言いようがない。
よって、難易度に関して文句を言えるのは、どちらのゲームでも裸一貫武器一本アイテム禁止回復禁止スキル禁止ノーダメージ縛りを達成したプレイヤーに限る。
というのは冗談としても、この論点での議論は不毛だしあまり健全ではない。
結局、FF16のゲーム性が気に入れば難易度が低かろうが普通に楽しめると思うので、これからプレイする人はあまり気にしなくて良いと思う。
FF16は神ゲーだったか?
これこそかなり主観的な話になる。
なので、FF16が大好きでFF16に否定的な意見はこの世から一切抹消したいと思ってる人はもう読むのをやめたほうが良いかもしれない。
それというのも、近年稀に見るレベルで良い感じのデザインのゲームなのだが、粗が目立つのもまた否めないと思っているからだ。
唯一無二のバトルデザイン
まずは良かった面から話していこう。
はじめに、バトル面に関してはマジで一切の文句はない。
BGMは良いし、アビリティはかっこいいし、自分の考えたコンボを繰り出している時の爽快感は他のゲームでは中々味わえない。
バトル設計に関してはDMCの開発関係者が協力してるとのことだったが、DMCの戦闘の面白い所を完璧にFFに落とし込んでいて神がかっていたと思う。
それに加えてFFならではの召喚獣を使役して戦うのだから、FF好きならアドレナリン放出待ったなし間違いない。
FFを知らない人でも、派手さや美麗さに心奪われることだろう。
また、自分が考える理想のプレイが成功した時の気持ちよさや、失敗した時のリスクなど、設計も調整も素晴らしいものだったと思う。
加えて、自分が考えた最強のコンボをただしていればいいというわけではない。
自分が目指すスタイリッシュプレイを実現するために、個々の戦闘では敵の行動パターンやギミックによって細かく対応していかなければならない。
そういう工夫を突き詰めていくのが本当に面白い。
「この敵はこういう行動をしてくるから、こういう感じでアビリティを回せば効率的に戦えるな」
そういう構想を練りながら戦いつつ、実戦でそれがハマった時の気持ちよさは他のゲームで味わえる体験ではない。
僕が一日平均9~10時間プレイ出来たのも、僕がストーリー等よりもゲーム性に重きを置くプレイヤーだったからであり、その趣向に完全に合致したと言える。
なお、アビリティがクールタイム制ということもあり、敵から逃げ続けてアビリティを撃ってるだけでも有利に戦えたり、オート系のアクセサリをつけたり、戦闘の難易度は人によって様々で得られる快感や達成感も違ってくると思う。
なので、先述した通り、戦闘については自分が楽しいと思えるプレイスタイルを見つけるのもまた重要なのかもしれない。
ちなみに、僕が初クリアした時はフェニックスやバハ、シヴァ系のアビリティを多用していたが、2週目の始めにオーディンを少し練習したらハマって抜け出せなくなった。
ウィルゲージ度外視の超火力を味わってしまったらもう戻れない・・・
神BGMのオンパレードについて
我らがゴッドコンポーザー祖堅正慶の手腕は、FF16でも僕らを惹きつけてやまなかった。
オープニングに始まりエンディングに終わるまでの間、戦闘BGMもフィールドBGMもクライマックスで流れる壮大なBGMも、全てがFF16をFF16足らしめる至高の傑作。
この音楽なくしてFF16は無かったと言ってもいい。
これ以上言葉を連ねるのは意味がない。
やれば分かるし、やった人は分かるだろう。
ただ、一つ言いたいことがある。
FFおなじみのテーマソングがあるじゃん?
要所要所でそのアレンジが流れるわけなんだけども、短い。。
おぉ、このBGMは!来るぞ来るぞ!・・・終わりかーい。
って感じで、アレンジでのフルもしくは長尺のバージョンをどこか一箇所でもいいので流してほしかった。。
まぁ、イベントのBGMとして尺が決められていたりするだろうから、その都合なのは察するが。
とにかく、音楽に関してはこれ以上無いくらい素晴らしかった。
音楽とその演出を観るためだけにFF16を買ってもいいレベル。
文句なしの最先端グラフィック
PS5に限定して開発されたおかげもあるだろう。
キャラクターや無機物等のオブジェクトはもちろん、戦闘のエフェクトなどもFFの名に恥じない美麗さを誇り、クライヴを始めとした主要人物達の細かな表情の変化まで実現されていて素晴らしい。
昨今のハイレベルなグラフィックのゲームに慣れてしまったプレイヤーでも、このゲームの綺麗さに感動する人は少なくないと思う。
ぜひ、キャラクターの表情や装備のデザインから、道端の植物や敵の造形まで隅々まで見て欲しい。
NPC達の個性と魅力
僕は何のゲームをするときでもそうなのだが、ストーリーやNPCにあまり執着する方ではない。
ストーリーが面白くてもゲーム性が気に入らなかったら続かないし、どのNPCがどんな発言をしたかも覚えていない。
だから、友人との会話やネット上で「あのキャラ良かったよねー」なんて話をしていてもピンと来ないことが多い。
もちろん、全く何も思わないわけでもないし微塵も記憶してないわけではないが、推しというほど執着するような事は基本的にない。
それはFF16でもそうだったが、しかし今までプレイしたゲームに比べて「このキャラ良いな」と思う機会は多かった。
一応ネタバレ回避するので深くは言及しないが、特にカンタンが最後二人の仲を取り持つ光景を見せられた時「あのカンタンも丸くなったな」と感慨深くなったものだ。
あと、ヨーテちゃんめっちゃかわいい。
サブクエの配置や出現時期などが綿密に練られていて、ストーリーの進行と共に変化していく世界情勢と、そこに住まう登場人物達の心情描写がよく出来ているからこそ、こんなにもNPCに愛着が湧いたのだと思う。
世界観に惹かれる人や、NPCの話に興味を持つような人は、FF16のこういう所もまた存分に楽しめると思う。
残念なところ
正直、批判的に見ても言うべくして悪いと言える所はあまりないように思う。
難易度設計やアクション性などに対する批判も、それがFF16のデザインですで一蹴していいようなものばかりで、反省点と言えるほどのものは多くない。
贔屓目に見てるつもりはないが、それでもなんであれだけ叩かれたのかよくわからない。
気に入らない部分は調整用のアイテムもあるし、プレイスタイル等々については個人の趣味嗜好による所ではあるが、俯瞰的に見てこれがダメというような要素でもない。
正直な所、自分も最初は簡単だなぁと思ってプレイしていたが、クリアする頃にはFF16はこうあるべきなんだと思った。
ストーリーも壮大な割にまとまりがよく、補完で済むような話はサブクエで補完出来るようになっていて、メインストーリーは必要最小限に引き絞られていて丁度いい長さだと思う。
これ以上短いと情報量が足らず感情移入できないし、長いとダレそうだし、これが一番丁度いい長さではないだろうか。
ただ、そんな僕が2つほど残念に思った点を紹介しようと思う。
あくまでも僕が思ったという話なので、人によってはそう思わないかもしれない。
一つは、要所要所のクライヴのモーションがしょぼいということ。
大事なシーンで唇がパクパクしてるだけの所があったのが一番残念だった。
その問題のシーンでは、クライヴが喋ってる間のカメラアングルも固定で、最高の雰囲気なのに人形が喋ってるのを映してるみたいで没入感が削がれたシーンがいくつかある。
全体的に、演出面の作り込みが間に合わなかったんだろうなと思わせられるシーンがいくつかあり、あと開発期間が半年~1年あれば文句なしの神ゲーだったんだろうなと思う。
まぁ、逆に言えばそれ以外の悪い点は取るに足らないものばかりで、本当にこれだけ突き詰めてくれてたら満を持して神ゲーと言えたなと思う。
恐らく、超重要なシーン、結構重要なシーン、重要なシーン、そうでもないシーン、みたいにカット毎の重要度みたいなのが振り分けられていて、重要な項目から実装していったんだろうというのがよく分かる。
最重要なシーンに至るまでのキャラのモーションとカメラワークに関して、違和感を与えないように必要な分だけとりあえず実装したものの、やっぱり最重要なシーンとクオリティの違いが分かるくらいの落差があったりしてそこだけ残念だと思った。
これもまた自分の主観なので人によっては全く気にならなかった人もいるだろうが、個人的にはアップデートででもいいので演出のクオリティを上げていって欲しい。
2つ目は、フィールド探索時の微妙な不便さ。
まず、チョコボは呼び出したらそのまま乗って欲しい。
R3押してどこから来るかも分からないチョコボの出現位置にいちいち気を配って、割としっかり近寄って適切な位置関係から騎乗ボタン押すというのが、長時間プレイしていると地味にストレスになる。
チョコボの操作性などはデザインの一つだと思うので旋回性能が低くても全然アリだと思うが、呼び出し機能自体に違和感がある。
加えて、扉や拾得物などへのインタラクトがクライヴがダッシュ状態だと出来なかったりするのが地味に鬱陶しい。
落ち着いてクライヴのダッシュ状態が終わってモーションの硬直が解けたのを確認してインタラクトが有効表示になったのを確認してから×を押せば問題ないのだが、そういうことではない。
人は、ボタンを連打するものである。
こういう細かい所の違和感がプレイヤーのストレスになっているのは否定できないと思う。
ただし、これに関しては相当プレイしてないと気にならないか、人によっては気づかない所かもしれない。
自分はむしろ、こういったデザイン面に着目しながらプレイする方なので気になってしまっていたが、最後まで違和感がなかった人もいると思う。
決して、ゲーム体験を損なう致命的な問題でも全くないので、これからプレイする人は全然気にしなくて良いと思う。
ただの僕の愚痴だと思ってもらえれば。
まとめ
先述した、カットシーンでのクライヴのモーションや、カメラワーク等の演出面の作り込みの甘さについて、プレイヤーが最ものめり込んで注視するシーンが故に細かい粗が気になってしまうというのはあると思う。
その一点のみ、されどその一点のせいで神ゲーと言いづらいのが個人的な感想。
僕は没入感というのを重要視するプレイヤーなのでそういう所が特に気になってしまうというだけで、これもまた人によって何ら気にならなかったりするのだろう。
戦闘のバランス調整や、設計についてはほぼほぼ申し分ない。
結局、FF16が良いゲームかどうかでいえば良いゲームだ。
僕がゲームデザインや演出の作り込みで評価を下げたように、人によっては難易度が低いのが気になったりで多少評価を落とすんだろうと思う。
だが、確実に一つ言える事がある。
FF16のPVやプレイ配信、動画を観て少しでも面白そうと思ったのならば、きっとFF16を好きになれると思う。
そういう期待には応えてくれるゲームだと思うし、興味があれば買うのをおすすめする。
他人におすすめすることができるくらい、完成度が高いゲームだと思う。
終わり(ง ˘ω˘ )ว
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