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恐れのない組織②

前回「心理的安全性」が担保されていることが、機能する組織を作る、ということを学びました。(『恐れのない組織』①はコチラ)今回は「心理的安全性」とは何なのかを見ていきます。
第3部  フィアレスな組織をつくる

1.心理的安全性の発見

Googleは研究プロジェクトが成功するための5つの因子を設定しました。その際、「心理的安全性」の重要性は群を抜いており、それは他の4つの因子の土台である、とされました。

例えば、病院の看護師が医師に対して「この治療ではなく、別のほうがよいのでは?」と思っていても、それを口に出すことははばかれる。新人のCFOがある会社の買収計画に、投資に危険があることを感じながら「間違っているかも知れない」と危険を言い出せなかった。両者とも自分の身は守れたが、実際の治療、買収においては大きな失敗をすることになってしまいました。それは失敗?それとも成功なのだろうか?個人的に人間関係で問題を生じる、という意味では成功ですが、全体とすれば大失敗ですね。つまり、ひとは無意識に「これを言ったらどんなリスクがあるか」を計算するのです。

ひとは対人関係を損なうことを恐れて発言を止めることになってしまうことがよくあります。心理的安全性は仲間が互いに信頼・尊敬しあい、率直に話ができると思える場合に存在し、その時にだけ率直な意見をいう土壌ができるという実験があります。ミスが多いチームが必ずしも成果が少ないわけでなく、むしろその逆であることであり、有能なチームほどミスが多かったのです。原因調査の結果、有能なチームは自信過剰でミスが多くなるのではなく、率直に話す風土があったからだということがわかりました。ミスを自由に話す、ミスの可能性を話す、ミスを回避する方法を見つけることを話す、⇒その風土を「心理的安全性」と名付けました。

2.「安全」と「不安」

その後の研究により、「心理的安全性」はどんな小さなチームでも存在する。その安全性の有無はグループのリーダーに委ねられることがわかりました。

手仕事や熟練など個人で成し遂げる作業の効率を上げるため、恐れられる上司から不安を与えられ、それが効果的であったことがある。そう信じ込んでいるマネジャーや経営者もたくさんいます。
ロシアの行動科学者パブロフの研究によって、不安は学習を妨げ、神経科学の分野では生理的エネルギーが消費され、ワーキングメモリである脳領域に資源が届かなくなるといいます。そのせいで分析的思考、創造的考察、問題の解決ができなくなる。不安を感じている人が、最高の仕事ができなくなる所以です。

3.心理的安全性についての誤解

組織という生き物を観察する人(特にコンサルタントやマネジャー)が心理的安全性を話題とした時、その概念が誤解される危険性があります。その項目をあげると

①心理的安全性は、感じ良く振る舞うこととは関係ない。

②心理的安全性は、性格の問題ではない。

③心理的安全性は、信頼の別名ではない。

④心理的安全性は、目標達成基準を下げることではない。

ひとは「言おうと思うことが好意的に受け容れられるとはっきり信じられないときは口を閉ざす」心理的安全性だけで高パフォーマンスがあげられるわけではない。ただ、達成可能な成果を不可能になることを減らせる。21世紀においては、難題や懸念やチャンスについて安心して率直に話し合える環境をつくる努力がリーダーの特に重要な責任なのです。



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