水の静寂
久々に家族が泊まりがけの仕事でひとりで過ごした夜も含まれているが
数日前から、家の中は、張り付くような静けさに包まれている。
とてもシンプルで幸せなこと、水道管の漏水工事をして水漏れが修繕されたのだ。
私はせいぜい6年目の新参者だが、この家はそこそこ年季が入っている。
風呂場には風呂釜のために2本の水道管が走っていて、古いひとつは給湯器との接続がなく風呂釜にも繋がっておらず、風呂釜用水道として役目を終えていたものだ。
そこが漏水していた。
この家に住み始めて、準工業地帯だから?高速道路が近いから?通低音は何かしらあったのだが、当初は義母もいて賑やかだったし、生活をすすめると共にすっかり私の聴覚も麻痺していった。
愛しい義母もいなくなり、小さな犬の散歩帰りの足の洗浄や隔週の犬のシャンプーを差し引いても、どんどん水道使用量は嵩んでいく。今年になって係数はもっと上がり、水道メーターをチェックする人からいよいよ点検を奨められ、2件目の工事屋さんが発見してくれた。漏水量も腐蝕面積の拡大と比例して増えていったのだろう。
問題の水道管は風呂釜の下を這っているので素人の私共の手には追えず、2,500円だけ何とか価格交渉を経て、先週滞りなく工事を終える。
経済的余裕や、いつまでこの家に住むか、とか、ただの惰性と無精が絡まり、家屋のメンテナンスは極めて不行き届きなのだが、工事屋さんが風呂場のタイルが欠けていて収まりの悪くなていた排水溝周りもパテで補修をしてくれた。
小さな漏水工事一つでも、家屋は喜んでくれたのだろうか。ゆたかな静寂をもたらし、私も気持ちがいい。小さな、ぎりぎりの手入れでこんなにリターンをいただいていいのだろうか。
触発されたぞ。次は階段。