ビジネスxデザインの海外ニュースと雑感(2020.06.06)
今週も最近読んだ海外記事の中で、社会変化を予感させる「ビジネスxデザイン」に関する情報を、一言添えてご紹介します。
時代が変わっても本質的に変化がないものを抑えつつ、急速に社会変化が進むなかで、グローバルの動向をウォッチしていこうと思っています。現代人が1日に受け取る情報量は江戸時代の1年分だったとも言われ、ますます、最新の情報を高速にキャッチしていくことが重要です(元記事)。
先週文はこちら▼
バーチャル旅行:Airbnbで月1,500万円稼ぐことも可能に
コロナウィルスの影響で、多くの人が外出自粛をしていることから、旅行者数は激減しています。そのなかで、バーチャルな旅行というのが世界を体験する最も最適な手段になっています。民泊のプラットフォームを運営する、Airbnbはオンラインでのローカルな体験を提供するホストと、ゲストを繋ぐサービスを始めました。既に300ほどのホスト登録があり、なかには、一月の売上が$130,000(1,400万円ほど)を超えるホストもいるとのこと。これは従来の家を貸すスタイルでは到底実現できなかった金額です。体験の内容はポルトガルで、女王さまからサングリアの作り方を教わるというもの(写真)や、イギリスの眠たそうな羊を見ながら瞑想をするもの、アルゼンチンのタンゴダンスを体験するものなど、バライエティ豊かでユーモアがあります。この記事を読んで、パンデミック以降、海外との身体的な距離は非常に遠いものになってしまいましたが、一方、デジタルツールを使うことでいつでも気軽に世界と繋がれることをより身近だという感覚が生まれているのではないでしょうか。ひょっとすると、われわれにとっては当たり前のことでも、地中の裏側の人にはインスプレーショナルで最高な体験を提供することもできるかもしれません。常にグローバル思考でいたいと感じさせる記事です。
ラグジュアリーブランドはデジタル化にどう対応するか
https://www.voguebusiness.com/companies/the-year-digital-fashion-accelerated-vogue-business-index
ファッションブランドにとってのデジタルマーケティングの重要性が増している。一方、8,000を超える富裕な消費者向けのブランドのうち、デジタルでのブランディングが優れていると言えるのは一握りしかないという。各社はこの急速なデジタルシフトに対応を余儀なくされている。ラグジュアリーブランドは、デジタルマーケティングにおいて、製品そのものについて発信するのではなく、ブランドの世界観を表すコンテンツを発信している。グッチはインスタグラムで、公衆衛生について発信したり、他のラグジュアリーブランドは仮想住宅や、デジタルのコンサートを提供している。
これまで「ラグジュアリー」な世界観は店舗に行くことや、ファッションショーのようなオフラインでの体験から感じ取ることができていたが、デジタルシフトが進むなか、デジタルの世界でどのように表現していくのか注目したいと思います。
パンデミックによる「ハグの仕方の変化」
パンデミック以降のソーシャルディスタンスが必要な社会での「ハグの仕方」についての記事。日本ではハグをする文化はあまりないが、欧米を中心とする多くの国々ではパンデミック以降、最も恋しいものの1つがハグだという。科学的に身体的な結びつきは、神経システムを落ち着かせストレスを低減させる事が知られている。 エアロゾル(気体中に浮遊する気体の混合体)の科学者の研究によると、ハグの方法を工夫すれば、感染するリスクは極めて低いとされる。
この記事を読んで、コミュニケーションは対面とデジタルの2種類ではなく「コミュニケーションの距離に応じたグラデーレション」ができつつあると感じます。パンゼミック以前は、対人コミュニケーションとして、同じ空間を共有する対面と非接触型のデジタル(SNS等)の2種類がメインであったが、パンデミック以降、その「中間」であるビデオ電話や、同じ空間にいながら離れてコミュニケーションをとる新しいスタイルが浸透しつつあります。日本でも、2mのソーシャルディスタンスが当たり前になりつつあり、コミュニケーションに距離という概念が自然と意識されたと感じています。
データシミュレーション時代の到来
ジョンズ・ホプキンズ大学はアメリカがどのように急速に拡大するコロナウィルスに対して対応したのかシミュレーションした記事を発行した。シミュレーションやゲームは、意外なことに、有事の時に、意思決定をサポートするために使われる。なぜなら、複雑な現象を可視化したり、少し先の未来を予測した姿を表すことで、コロナの対策の方針等の意思決定が及ぼす影響について想像をより具体的に巡らすことができるからだ。この記事のなかで、シミュレーションがもたらす効用として、もう1つ「共感を育む」ことが、できると伝えている。例えば、コロナウィルスがどのように拡大するのかシミュレーションした結果(こちらの記事)を見ると、どうして人と接触することをできるだけ避ける必要があるのか共感しやすい。将来について人々の「直感」を育むのを助けるからだという。
以前から行動経済学やゲーム理論の学者などにとっては、シミュレーションはコミュニケーションのツールとして一般的であったが、今回のコロナウィルスをきっかけに、より複雑化する社会の現象に対して、伝統的なジャーナリズムの「文字中心」のスタイルから、「直感的に理解できる」シミュレーションなどの新しいスタイルが増えていくだろうし、求められているのではないだろうか。
仕事をサボって好きなことをするスキル
毎週、Derek Siver氏(ブログ著者のデレック・シバースは、元ミュージシャンで、オンラインCDストアのCD Babyの起業家)のブログから抜粋しています。日本では、仕事を敢えて休む時、「ズル休み」と表現されるかもしれない。アメリカでは仕事を休むことを、Playing Hookie(ホッケーする) "イギリスでは skiving "スカイビングと呼ぶ。Siver氏の最も生産的な日は、何かの予定をサボった日に訪れる事が多いという。例えば、3日間の国際会議に応募して、登録まで行くのだが、やっぱり行きたくない。そんな時、一日中ホテルのラウンジに座って、誰からも邪魔されずに、その3日間で最高の仕事をやり遂げることがある。どうやったら、仕事をサボって生産的で、効率的な日を送ることができるのかそのコツを紹介している。
1.何か予約する
2.スケジュール帳で時間を抑える
3.当日、予定帳に書いてあることと、あなたが本当にしたいことを天秤にかける
4.本当にしたいことが上回った場合、予定をサボって好きなことをする
より生産的になれる理由は、最初から自由時間があるのではなく、不意に降って湧いたように自由時間ができることで、どこか罪悪感を多少感じながら目の前のやりたいことに没頭できるのではないだろうか。また、こういった自分が決断した判断によって、「あなたの人生のボスはあなた自身だ」ということを思い出す至福のひと時になるかもしれない。
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コロナの状況によって我々のライフスタイルや経済環境、グローバルな移動が変わるなか、ますますマクロ環境の変化をウォッチする重要性が上がっているような気がします。毎日SNSをなんとなく見る時間を、能動的なインプットの時間に変えていきたいと思っています。
Photo by Daniel Korpai on Unsplash
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