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赤字の思い出
原稿のやり取りの際に入れられる修正を「赤字」と呼ぶ。
致命的なミス
今は書く側で、チェックしていただく立場だけれど、
振り返るとまだ、著者の方々やライターのみなさんの原稿をチェックしていた期間のほうが長いと思われる。
あれはわたしが30歳くらいの頃だったか、
携帯に毎日メールが届く形式の読み物(というかノウハウ的なもの)の制作進行を担当していた。
そのサービスはもともと書籍からの抜粋が主だったが、規模が拡大するにつれ、サービスに合わせ執筆してくださる方も出てきた。
その中のおひとりの担当になり、上がってきた原稿に編集者の立場で赤字を入れ、戻した。
が、その時致命的なミスをしてしまってた。
元原稿を残し赤を入れるのではなく、書き換えてしまっていたのだ。
ほんと今思うと最低最悪なミスで、思い出すだけで頭を抱える。
しかも、作者さんからの返信メールを読むまで気付かなかった…
そのメールの文面はとても静かで優しく、その分申し訳なくてしかたがなかったのを覚えている。
その後すぐ電話をし平身低頭謝ったのだが、その時も作者さんは穏やかな口調で許してくださった。
歴史は繰り返す
時は流れ…約15年後
「歴史は繰り返す」というか、「やったことは返ってくる」というか、
わたしは作り手の立場でまったく同じ状況に陥ることになる。
その時わたしは…
ブチ切れた笑
いや、相手がいかにも態度がひどかったし、いろいろ重なっていたからなんだけれどね。
その時もやはり15年前の出来事を思い出して、あの方は人格者だったんだなぁと噛みしめた。
そして自分の人としての足りなさを反省した、一応。
(いや、ほんといろいろひどかったものだから…でも一応。)
なんかもうちょっと、ほかの言い方があった…かもしれない。
実はその方は以前アイドルで、知る人ぞ知る芸能人なのだけれど、その後不祥事でニュースやら記事やらで取り上げられることになる。
それでも、実際に接した時の印象は変わることはなかった。
記者やリポーターに囲まれての受け答えにはあの時の誠実さが垣間見えた。
人にはいろいろな面がある。
正反対に見えることも持ち合わせていたりするもんだ。
冷たいからといって優しさがないわけではなく、
誠実でもあり、不誠実でもある。