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サクマのいちごみるく

ザクッ。
ジュワッ。

あまーいピンク色の味がする。

そう、サクマのいちごみるくドロップ。
「サクマの」が大切。

小さい頃、
たまーに近所のデパートに買い物に行くと、

駐車券に無料スタンプを押してくれる、
サービスカウンターのおねえさんが、

背のびをした私に、
ちょっぴり高いテーブルから、
そっと優しく手を伸ばして、

「はい」
と笑顔で手のひらにくれたドロップ。

それは、サクマのいちごみるくだった。


買い物で疲れてしまった私にとって、
サクマのいちごみるくは、
ちょっぴり幸せな甘いひとときをくれたもの。


今日、一日仕事を頑張って、
高校の旧友とディナーをして、
おいしいものを食べて、
青い春の懐かしい話も、
ちょっぴりつらかった話も、
たくさん、した。

エレベーターに乗って帰ろうとする私たちのところに、レストランのレジのおねえさんが走ってきた。

「いま、キャンペーン中で、この箱からお好きな飴玉取ってくださーい!当たりの飴が出たら、クーポン差し上げております!」


当たりの飴とは何だろうかと思いながら、
箱の中に手をつっこんだ。

そして私の指先が出会った飴は、

サクマのいちごみるく。


エレベーターを降りて、
出口に向かい、
大雨を見る。

「はぁ、、雨かぁ。」

そして、旧友とも
「またね」とバイバイした。


それから
一人になって、
ポケットからもらった飴を取り出す。

サクマのいちごみるく。

ザクッ。
ジュワッ。

一日の疲れと、少ーし切ない気分を
また、ピンク色にしてくれた。


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