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おばあちゃん

ある小さな港町。

まだ朝の7時だというのに、住民たちはすでに活動し始めている。

通りには海鮮丼やとれたての魚を売る店が並び、賑わっていた。

ある店でウニの瓶詰めを見ていると、

「おいしいよぉ!ゆっくり見てってね」

と店のおばあちゃんに声をかけられた。

80歳は過ぎているように見えるが、働く姿は朗らかで、若々しい。きらきらとした瞳は、まるで少女のようだと思った。

同じようにあちこちで明るい声が交わされていて、気持ちがいい。

わたしの朝はどうだろう。

黙って電車に揺られる大人たちの顔は、いつも少し不機嫌に見える。そしてもしかしたら、わたしも。

もう一度先ほどの店の前を通ると、おばあちゃんが大きな茶碗を抱えながら、勢いよく朝ごはんを食べていた。

育ち盛りの子供ような気持ちのいい食べっぷりに、思わずクスッと笑ってしまう。

朗らかにいこう。

わたしはゆるんだ顔のまま、いつもより背筋を伸ばして歩き始めた。


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