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車にのるのがすきなんだ。 じつは、さんぽよりうれしかったりする。 いっしょに出かけられるのがうれしくて、車の下までかけあしでむかう。 ドアが開いたら、だっこしてのせてもらうのをまつよ。あまえんぼうってよくいわれてる。 車の中では、ひざの上でおとなしくして、窓から外の景色をみてる。かおはださない、あぶないからね。 窓からみえるのは、ぼくのしらない世界。遠くへいける。しらない場所へいける。ちっともこわくないよ。わくわくするね。 おねえちゃんも、おかあさんも、たのしそう
「たーくさんなってるよ」 祖母の声はいつも明るい。 ちょっとした冒険気分で畑へ向かう。キュウリの蔓でできたアーチをくぐり抜けると、一面に広がる緑。ナス、ピーマン、人参など、収穫時期を迎えた野菜がたっぷり実っていた。 もうすぐ80歳になる祖母は、今でも朝早くから夕方まで畑仕事をしている。 私の好きなトマトも、立派な実をつけていた。わぁ、と声をあげて近づくと、祖母が私の手に真っ赤に熟れたトマトをのせてくれた。 「こっちはフルーツトマト、甘いよう」 祖母は日焼けした顔を