父と私とインスタントコーヒー
父親との関係を普通の人と同じようにしたい。
体験セッションに来られた方が言われていました。
その方は、母親が他界してから父親と二人の日々の中で、自分を支配してくる父親に苦しくなりカウンセリングを受けたりしたそうです。
今では遠方に住み、数える程度の回数、手紙のやり取りをしている関係だそうです。
でも私は言いました。
親との関係を根本的に改善したいと思っているなら、すぐにでも取り掛かるべきですと。
そして話しを聞きながら、普通の親子ってどんなのだろうとも思いました。
なぜ私がその疑問を持ったかと言うと、我が家の父も普通ではなかったし、親子の関係性も独特だったなと思ったからです。
私は父が嫌いでした。
例えばですが、父が食パンは袋の中に手を入れて取った後のパンは食べきれませんでした。
外国航路の船乗りだった父は、年に2ヶ月ぐらい帰宅するおじさんってイメージ。
父がいると野球が多くなるのが嫌だったし、アニメを見て高笑いするのが、子供心に嫌でした。
ある日あまり私を遊びに誘わない父が、出かけようと声をかけてきました。滅多にないことなので、子供心に嬉しくなりついていきました。
どこにいくのかワクワクして、バス停で待っていると、やってきたバスは「佐賀競馬場行」。
私は愕然としました。
今でこそ競馬場は一大レジャー施設みたいになっていますが、今から40年以上前はおっさん達が行くがらの悪い場所ってイメージでした(これはあくまでも個人の感想)。
私は父がギャンブルをするのが嫌だったので、その場で父の手を振り払い泣きながら家に帰りました。
私は、きっと私が好きな場所へ連れて行ってくれるだろうと思い込んでいたので、余計にショックだったと思います。
でもよくよく考えてみれば、私のこのギャンブルが嫌いな価値観って私が作ったものじゃないよなーと思います。
ジャンブル自体、あんまり知らんし・・・。
誰のか?それは母親です。
母は、父が乗船中の間、父への不満を私に語っていました。
繰り返し聞かされていれば、私も父のことをそういう目で見てしまい、母と同じように嫌悪感を持ったのかもしれません。
世の中のお父さん、お母さん、それぞれの気持ちの吐け口を子供にするのは止めましょうね。
悪口はネガティブの最たるもの。良いエネルギーは全くありません。
ゆくゆくは、その子の人生に悪影響を与えると認識した方がいいです。
だけど、父が飲むクリープ入りの甘いインスタントコーヒーは好きで、それは作ってもらって飲んでいました。
だけどよく考えたら変わった父で、本当におバカさんだったのかもしれません。
ある日ちょっと遠方のパチンコ屋へ行く為に、当時小学生だった私の弟の自転車を借りて出かけてました。
見た目は完全に子供用自転車です。それに175cmぐらいある父が乗り国道を爆走していたかと思うと、恥ずかしさとアホやこの人という気持ちがいっぱいでした。
そんな父は私が結婚した後に肝癌を患い、余命宣告を受けました。
父はぶっ飛び具合を最後まで突き通し、入院していても勝手に外出して競馬へ行くという始末。
もう最後は歩行がふらつき、失禁するほどに弱っていました。でもオムツはしたくない!と断固拒否していたそうです。あとから母に聞きました。
父らしい。
その後病状は悪化して昏睡状態に。
私は父の手を握りながら、徐々に息が静かになっていく父を看取りました。最後まで自分の生きたいように生きた父。
コーチングを学び、過去の出来事を振り返り感謝することが増えました。
父への気持ちもその一つです。
これに関しては、早く気付いて生前に伝えたかった。
感謝と大好きだったこと。
嫌いだと言っていたけれど、本当は遊びたかったし、一緒にいたかったし甘えたかった。
母親の手前、どうしたらいいのか分からなかったんでしょう。
親の影響はそれほどに大きい。
大人になって、それに苦しんでいる子供がたくさんいます。
私もその一人でした。
そして親との関係を根本的に改善したいと思っている人は、すぐにでも取り掛かるべきです。
だって親御さんが、明日も元気でいる保証はどこにもありませんからね。
あなたが後悔しないために。
少し長くなってしましましたが、最後までお読みいただきましたありがとうございました。