ICEモデル ―メタ認知力を確実に上げる振り返りツール
2017年の悩み
2017年、オール論述の試験・ルーブリックの作成を始めたばかりの私は、
あることに悩まされていた。
それは、ルーブリックの項目の複雑さである。
「何が」「どのくらい」「どのように」書けているか、ということを
一つのルーブリック項目にこちゃまぜにしていたことが要因だった。
ルーブリックを作成したことのある方なら共感していただけるのではないだろうか。
そうと分かるまで、モヤモヤを抱えながら
ルーブリックや教育評価の本を読みあさっていた時、
一冊の本に出会った。
ICTモデルとの出会い
『「主体的学び」につなげる評価と学習方法―カナダで実践されるICEモデル』である。
本書は、現在に至るまで、私にとってルーブリック作成の基本的な指針となった。
さらに、今では勤務校のルーブリック作成の基本概念となっているように思う。
ICEモデルとは、
カナダで開発された、認知段階に基づくルーブリックのモデルであり、
I(Idea)
C(Connection)
E(Extension)の3段階で、
学習成果を「計量的に」ではなく、「質的に」測ることができる。
本書と出会ったことで、
自分のルーブリックを煩雑にしているのは計量・質を区別していないことであり、
「何が」「どのくらい」かけているかという計量的に測りたい部分と、
「どのように」かけているかという質的に測りたい部分を、
分けて考えるべきだと気づいたのである。
定期試験での活用
また、ICEモデルの導入は、「逆向き設計」での試験作りとの相性も良かった。
それまで意識していなかったが、
設問によって、知識を問うもの、つながりを問うもの、知識の応用力を問うもの、それぞれである。
どの設問で、どの段階まで求めるのか、ということが、
作問の段階で明確になった。
生徒にも事前に提示することで、目的意識を持って試験勉強ができる。
さらには、試験返却後の生徒の振り返り:自己評価、相互評価→試験直し も円滑になった。
このように、ICEモデルをベースとしたルーブリックを活用した授業・試験のデザインは、
教員同士での・また生徒との共通言語作りの意味でも大いに役立った。
もっとも、授業・試験を「逆向き設計」でデザインし、
試験は生徒の学びの振り返りの場として活用するという前提での話になるが。
ルーブリック作りでつまづいた時、
試験をもっと学びの多い場にしたいといった時に
一度、立ち返ってみることを勧めたい。
MAAM.