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謎解き・バナナフィッシュにうってつけの日12「フィッシャー・キング、あるいはEVの中で何が起こったのか?」


dig フカボリスト。口がわるい。


e-minor 当ブログ管理人eminusの別人格。


☆☆☆☆☆☆☆


 どうもe-minorです。


 digだよ。


 いよいよここまで来たね。


 余すところ2ページ。大詰めだな。


 今回は、作中における「事件」のひとつというべきエレベーター内での女性とのやり取りを謎解きするわけだけど、あらかじめdigと打ち合わせをしたところ、このくだりをきちんと理解するには、アーサー王伝説のなかの「フィッシャー・キング」、すなわち漁夫王(いさなとりのおう)のエピソードを知っとかなくちゃいけないらしい。そこで、ぼくもみっちり予習をしてきたんで、今回はもっぱらぼくが喋らせてもらおうかなと(笑)。


 任せるよ。


 まず、西洋文学……というか西洋文化の淵源として、『聖書』という巨大なテクストが厳然として在る。これが大前提。


 うん。


 その聖書に関連して、アーサー王伝説ってものがある。これ自体は主にケルト由来といわれてて、キリスト教より古いんだけど、ヨーロッパの広域をキリスト教が覆っていく中で、習合っていうか、取り込まれていった。そして新たに書き足されてもいった。とりわけ「聖杯探求」の一連のエピソード。


 最後の晩餐に使われた/あるいは十字架上のイエスの血を受けたといわれる聖遺物な。これが失われたために国土が荒廃してしまったんで、騎士たちが探し求めるって例のやつだ。このエピソードの核にいるのが漁夫王なんだ。

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2,999字
全13回にて完結しています。

サリンジャーの短編「バナナフィッシュにうってつけの日」の謎を対話形式で解読。

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