25.ひめ神カード講座ベーシック ~このはなさくやひめ~
(なぜ、実家に戻らなかったのだろう?)
コノハナサクヤヒメは、ニニギノミコトと共に、限られた短い命を燃やし、愛に生きることを決意したのだと思う。
コノハナサクヤヒメの真の美しさは、外面だけではなく、内面からにじみ出ているものだということが、わかる。
短いがゆえの。
散りゆく前の。
限りあればこそ。
***
コノハナサクヤヒメのカードを引いたら、
〈もうあとがない〉というくらいのエネルギーと覚悟で、ものごとに当たろう。
そんなことを思った。
決意を胸に秘めた人の顔は、美しい。
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コノハナサクヤヒメは、12ひめ神の、9番目のひめ神だ。
1番~5番までのひめ神が表しているのは、一人の女性の中にある基本的な魅力のうち、自分の中から引き出していくもの。
6番目と7番目のひめ神は、相手の中から魅力を引き出していくために、どのように対処すればよいかを伝えてくれる。
8番目と9番目のひめ神は、未熟な男性を見抜くためにある、女性の魅力、目に見えて、華やかで一途な魅力と、目に見えない、地味で不変の魅力を教えてくれる。
〈未熟な男性の対処法が試される時〉
***
コノハナサクヤヒメと、姉のイワナガヒメに対する、天孫ニニギノミコトの言動は、いくら、後世に住む子孫に、大切なことを伝えるための神芝居とはいえ、あまりにも心ないと感じることばかり。
イワナガヒメに対しては、
〈因甚凶醜(いとみにくきによりて)〉
という理由で、追い返してしまう(!)
コノハナサクヤヒメに対しては、
〈遇麗美人(うるわしきおとめにあいたまいき)〉
と、その美しさに一目ぼれをして、妻とした。
にもかかわらず、たった一夜の契りで懐妊したことを知らされると、
〈一宿哉妊。是非我子(ひとよにやはらめる。これわがこにはあらじ)〉
と、その不貞を疑う発言をする。
(信じられない!)
そんなアホな男とは、縁を切ってもいいのではないのか? と思う。
日本神話では、さまざまな未熟な男性に対する対処法を、ひめ神たちの行動によって、教えてくれているので、見てみよう。
(コノハナサクヤヒメは、どうしたのだろう?)
しくしく泣いて、弁明する → NG
烈火のごとく、怒り、愛想をつかす → NG
コノハナサクヤヒメは、顔が美しいだけの、ひめ神ではなかった。
〈方産時、以火著其殿而産也(うむときにあたりて、ひをそのとのにつけてうみき)〉
「天孫の子であれば、火の中でも、無事に生まれるでしょう」と、産屋に火をつけて出産し、無事に三つ子を産む。
(なんて、激しい)
ニニギノミコトによって、父の寿ぎの想いをふみにじられ、姉のイワナガヒメを送り返されたとき、コノハナサクヤヒメの命は、永遠ではなくなった。
姉と一緒にいれば、花を散らすことなく、永遠の命を手にできたかもしれない。
だけど、ニニギノミコトの元に残ることを選んだコノハナサクヤヒメ。
そんなコノハナサクヤヒメに向けられた、愛する人からの耳を疑うような言葉。
(なぜ、実家に戻らなかったのだろう?)
コノハナサクヤヒメは、ニニギノミコトと共に、限られた短い命を燃やし、愛に生きることを決意したのだと思う。
コノハナサクヤヒメの真の美しさは、外面だけではなく、内面からにじみ出ているものだということが、わかる。
短いがゆえの。
散りゆく前の。
限りあればこそ。
***
コノハナサクヤヒメのカードを引いたら、
〈もうあとがない〉
というくらいのエネルギーと覚悟で、ものごとに当たろう。
そんなことを思った。
決意を胸に秘めた人の顔は、美しい。
浜田えみな(初出 FB 2020.9.7)
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