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552.【ペア活】おだしのテーマパーク 京都離宮&城南宮(2024.11.11)

(ふっくらふわふわ、ずっしりほかほかの、おだしいっぱいの、幸せの黄色いだしまき!!)

こんなに大きなだしまき、見たことがない!
ぶあついーーーっ
ほかほかーーーっ
ふわふわーーーっ
すっしりーーーっ
だしーーーっ

お膳には、二段重ねの扇形に彩りよく盛り付けられた前菜、お出汁料理、小鉢が並び、ごはんは1人ずつ、小さな釜で炊き上げられる。
お釜でたきあげたごはんも、ツヤツヤ、ぴかぴかだ。

切れ目を入れるのが、もったいないようなだしまきを、一口ほおばると、あたたかさと、なつかしさが、口の中いっぱいにとろけて、思わず目をとじる。言葉にならない。ごはんを口に入れると、お米粒とのハーモニーがたまらない。

(本文より)

◆食友
◆当日枠でチャレンジ
◆朝いちばんのご神域で出逢ったもの
◆利きだしで選ぶだしまきの至福
◆城南宮神苑
◆食でつながりあう

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◆食友

お誘いをいただき、「京都離宮〈おだしとだしまき〉」で「だしまき御前」を堪能し、城南宮を散策した。
誘ってくださった荒木佳世さんは、食友だ。
宇治市にある萬福寺の普茶料理が、ずっと気になっていて、一緒に行ってくれそうな人を探していたところ、昨年の11月に、佳世さんが、河内長野市にある観心寺の精進料理を、1人で食べに行ったという投稿を目にして、(この人なら)と思い、ダメもとでコメントで普茶料理のことを持ちかけたところ、佳世さんも気になっていたということで、ご一緒したことがきっかけだ。
佳世さんと、2人きりで会うのも、挨拶以外の話をするのも、そのときが初めてだったけれど、萬福寺で、日本では類を見ない様式の伽藍や国宝や重要文化財に指定されている、貴重な寺院建築を拝観し、念願の普茶料理の美しさとおいしさを味わい、共有して、話が弾んだ。
「食」に感じているもの、求めているもの、焦がれているものや情熱、時間とお金のかけかたなどが、お互いに無理なく同程度の人には、なかなか出逢えないので、嬉しい。

◆当日枠でチャレンジ

というわけで、予約がとれない「京都離宮」に、当日枠で並ぶことにしたのはいいけれど、最寄りの竹田駅に、8時40分ごろ到着する電車に乗るという、(仕事でもそんなに早くに家を出たことがない!)スケジュール。

朝の光が清々しい道を、いったい何時にごはんを食べられるのかわからないまま(最短で10時。最長だと、14時ごろ?)佳世さんと、てくてく歩く。
HPには、バス停から徒歩3分で京都離宮に到着すると書かれているのに、方向オンチの私たちは、別の方角に歩いてしまったらしく、かなり遠回りをして、ようやく到着。


9時30分になると、入口前に「名前記入台」が出るので、名前を書くと、お店の人が入店時刻を教えてくださるので、その時間に再び訪れる流れだ。
私たちは2番目で、10時に入店できると言われて、すぐに食べられると思わなかったので、夢のよう。

(朝ごはん、少な目にしてきてよかった!)

◆朝いちばんのご神域で出逢ったもの

入店まで30分近く時間があるので、隣接する城南宮をお詣りする。
手水舎で、手と口を浄め、赤い鳥居をくぐり、境内へ。

誰もまだ足を踏み入れていない、朝いちばんのご神域とは、こんなに清浄で、澄み渡っているのだと、全身が反応する。

(朝いちばんの境内って、こんなに気持ちがいいんだ!)

品評会に出展されているような、立派な菊が展示されていたので眺めていたら、佳世さんが「バッタがいる!」と教えてくれた。よい意味があるという。

〈神社でバッタ〉と検索すると、たくさん出てくる。
これまで、バッタにスピリチュアルな意味があるなんて、思ったこともなかったけれど、確かに、前にしか進まないし、大きくジャンプする。困難なことや課題があっても、乗り越え、飛び越えていける暗示だと言われたら、嬉しい気持ちが湧いてくる。

◆利きだしで選ぶだしまきの至福

入店時間が近づいたので、京都離宮へ。
メニューは、「だしまき御前と釜たきご飯」のみ。

最初に、「利きだし」といって、小さなグラスで「離宮のおだし・かつおだし・あごだし・京さわらだし」の4種類のおだしを味わい、選んだおだしで、だしまきを作ってくださり、だし茶漬けがいただける。

だしまきには、大根おろしなど5種類の中から3種類までの薬味を選んで添えてもらえて、至れり尽くせり。
家で、HPを見ながら考えていたときは、「あごだし」か、「京さわらだし」にしようと思っていたのに、なぜか「離宮のおだし」に魅かれた。佳世さんは「京さわらだし」にされたので、半分こすることに。2人で食べにいくと、こんなことができてお得感満載だ。

最初に「利きだし」のグラスが出てきて、味わっている時点で、どんどんテンションがあがり、わくわくしながら、お膳が運ばれてくるのを待っていると…… やってきた!!


(ふっくらふわふわ、ずっしりほかほかの、おだしいっぱいの、幸せの黄色いだしまき!!)

こんなに大きなだしまき、見たことがない!
ぶあついーーーっ
ほかほかーーーっ
ふわふわーーーっ
すっしりーーーっ
だしーーーっ

お膳には、二段重ねの扇形に彩りよく盛り付けられた前菜、お出汁料理、小鉢が並び、ごはんは1人ずつ、小さな釜で炊き上げられる。
お釜でたきあげたごはんも、ツヤツヤ、ぴかぴかだ。

切れ目を入れるのが、もったいないようなだしまきを、一口ほおばると、あたたかさと、やわらかさと、なつかしさが、口の中いっぱいにとろけて、思わず目をとじる。言葉にならない。ごはんを口に入れると、お米粒とのハーモニーがたまらない。

薬味は、「ゆかり大根おろし」「九条ねぎ醤油」「鶏せせりの味噌あえ」を選んだけれど、どれもおいしい。そして、薬味などいらないくらい、だしまきがおいしい。
お膳に盛り付けられた前菜や、煮もの、小鉢の一品ずつのおだしの繊細な味わいの深いこと。
「おいしい」しか言うことがない。
頃合いを見て、声をかけると、第二弾「だしまき出汁茶漬け」のおだしが運ばれてくる。
ごはんの上に、だしまきと、わさび、海苔、あられをのせて、だしをそそぐ。

(なんと、ぜいたくな!)

出汁のおいしさがわかる舌に育ててくれた両親に、感謝する瞬間だ。
やがて、伝票がわりの、恵比寿様の人形がテーブルに置かれ、食事は終了。入店を待っている人がたくさんいる。

物販コーナーでは、だしまきや、お弁当のほか、各種だしパック、だし粉末、スイーツなどを買うことができる。佳世さんも私も、これから城南宮の庭園を散策にいくのに、おみやげだらけ。

◆城南宮神苑

城南宮の庭園は、神苑と名付けられていて、いまは花がない時期だったけれど、〈咲いたらどうなるか〉が、十分想像できて、信じられないほどのしだれ梅が林立するエリアや、数えきれないほどの椿の品種が植えられている小路に、圧倒された。

鞍馬の木の根道さながらの根っこが地面を這いまわるエリアがあったり、竹林が続くエリアがあったり、不思議な虫食い?の葉っぱを見つけたり、ささやかながら、咲いている花に足を止めたり。

庭園もすばらしく、七五三のお詣りのあと、写真撮影をする人たちがたくさん訪れている。

滝の音が聴こえてくる。

奈良時代から平安時代中期にかけて、宮中の年中行事として正式に行われ、その後、貴族が自邸で行うようになった「曲水の宴」が催されるエリアがあり、大河ドラマ「光る君へ」を観ている私たちは、そのシーンが浮かんで、うっとり。

調べてみると、城南宮では、4月29日に、平安時代の装束を身に着けた7名の歌人(男性5名 女性2名)が、当時の情景そのままに、ゆるやかに流れる水のほとりで、身を清める禊や祓えに由来し、神様に歌や舞を奉納するご神事を催していると知り、「水」の持つ御神威を感じる。

神苑の中に、あずまやがあり、そこで腰をおろす。

目の前には、青空と木立。緑と、紅葉しはじめる葉のグラデーション。心地よい風が吹き抜け、苔の上に、木漏れ日が揺れる。
ずっと同じ場所にいるのに、きらきらと輝く世界は、目をやるたびに美しい光を放ち、スマホをかざして写真を撮ってしまう。

こんなふうに、木々に囲まれて、ひかりと風の中にいたかったので、とても嬉しい。
どのくらい話していたのだろう? 2時間くらいだろうか?
16時になり、そろそろ帰ろうと腰をあげて出口を抜けると、まだもう一つの庭園があると教えていただき、焦る。

すっかり日が陰ってしまった庭園は、ひかりの中にあるのとは違う顔をみせているけれど、立派な赤松と黒松に出逢えて、感銘を受けた。

誰もいなくなり、日も陰ってきた庭園を駆け足でまわり、名残惜しく、城南宮を後にして、竹田駅に向かう。帰りは、まっすぐな道を、高架になっている近鉄電車の線路をめざす。線路にぶつかると左に曲がるだけなので、私たちでも安心。
城南宮には、きっとまた来る。満開のしだれ梅が観たいし、数えきれないほどの椿の品種が、咲いている様子は圧巻だろう。桜の季節もよい。曲水の宴も、一度は参列したい。

◆食でつながりあう

おだしのおいしさをわかっていただける佳世さんに、空堀商店街にある老舗の鰹節屋さんの話をして、そのお店のつくだにが好きで、ずっとリピートしているという話をしたところ、なんと、佳世さんも、そのお店をご存じで、お土産に持ってきてくださっていた!

そして、私がお土産に持っていった知恩院のお漬物は、佳世さんにとって、思い出のあるお寺だったということで、喜んでいただけた。

好きなもの、喜んでいただけると感じたものが、無意識で選んでいるのにつながりあう不思議。
次は、どんな「おいしいもの食べ隊活動」を体験するのか、とても楽しみだ。

浜田えみな

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