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127.〈じぶん温泉 かけ流し!〉~月の雫が落ちたら~

〈じぶん温泉〉というのは、十数年前に、アロマテラピーやオステオパシーなどを学んでいる時に知った、「内在力」や「自然治癒力」のことだ。
生きているものはみんな、自分で自分のことを大丈夫にする力があり、それを湧き出させたら、いつでも湯治ができる。

私は、子どもの頃から本を読むのが好きで、物語の力で、いろんな〈じぶん温泉〉に入ってきた。だから、自分でも、ことばによる表現で、温泉掘削師になりたいと思っていた。

自分の中からあふれだした治癒のエネルギーに包まれる体感。

それぞれに、それぞれの湯治場があるのだと思う。
海かもしれない。空かもしれない。草原かもしれない。

じぶんの温泉に出逢う。

出逢ったら、尽きることのない、かけ流し!

***

以前から私の中にあり、いろんな方々が、リーディングで教えてくださったり、イメージを描いてくださったりしたので、自分では気がつかなかったけれど、だだもれになってた、深い森のビジョン。

本郷綜海さんから、グラウンディングを教えていただき、その森とつながる感覚が増えていった。

その様相が変わったのは、今年の1月だ。
スピプロ仲間の新井智子さんにレイキヒーリングをしていただきながら、グラウンディングをしていると、声が聴こえてきた。
声……というよりは、〈湧き上がってくる流れ〉のようなものが同時だった。

〈とめないで〉

という波動。

〈あふれていい〉

という波動。

それど同時に、からだの奥から、あたたかいものが突き上がってきた。
あっというまに、つつまれる。
たゆたゆと。たぷたぷと。
その体感に、

(〈じぶん温泉〉というのは、こういう感覚なんだ……)

と感じた。

それは、母親の胎内にいるときの、安心で安全で愛と祈りの中で守られている記憶なのかもしれない。
グラウンディングでたどりつく場所も。

そうして、次に、私が以前から抱いている、自分がとても癒される光景が見えた。

深い森の中、まるく差しこむ月の光に、静かに浮かび上がる小さな湖。
道とわかる道はついていなくて、たどりつける人だけが見つけられる、森に護られた場所。
蒼い夜と、月の光と、森の呼吸と、湖面のまたたきが、ひっそりと誰かを待っている場所。

その湖が、温泉になった(!)

いきなり、白い湯気があがってきたので、そうだとわかった。
あまりにも衝撃的で驚いたが、いつのまにか、温泉になった湖(かなり小さくなっている)に、はだかで飛びこんでいた。

あたたかいお湯につつまれ、深い場所までもぐっていったり、浮かび上がって背泳ぎしたり、ただ、浮かんで、月をながめていたり、ふたたび、頭からもぐっていったり、手足を動かして踊ったり。

〈かけ流しというのは、こういう感覚なんだ……〉

と、わかった。

***

すると、温泉になった湖に、動物たちが入ってきた。
対岸から、ぞくぞくと、熊とか、いのししとか、きつねとか、りすとか。いろいろ。
いつのまにか、人間も。

〈深い森の中、まるく差しこむ月の光に、静かに浮かび上がる小さな湖〉
〈道とわかる道はついていなくて、たどりつける人だけが見つけられる、森に護られた場所〉
〈蒼い夜と、月の光と、森の呼吸と、湖面のまたたきが、ひっそりと誰かを待っている場所〉

それが、ほかほかと白い湯気をあげる湖面に、わいわいがやがや、森の動物と人間がたわむれ、温泉を楽しんでいる光景になっている。

誰もいなかった森が、活気にあふれている。

それは、信じられない光景だった。
そんなことを、想像したこともなかった。
秘められた森の奥は、聖域だと思っていた。

湖が、温泉になった。
人も、動物も、誰もが、争わず、笑顔で、白い湯気につつまれ、月の光を浴び、森とともに共存できる。
誰もいなかった湖に、ほかほかした湯気と、ほとびた笑顔と、活気と生命力が満ちている。

〈ひとりじゃない〉
〈わかちあい、共存する世界〉

その光景を見たとき、自分の中にあったバリアみたいなものが、解かれていることに気がついた。

壮大な「ゆるし」が、降り注いで、鳴り響いている感覚。

***

不思議なことに、その光景も、登場する動物や人間も、旅する絵描き 木の葉堂 白澤裕子さんの描くタッチだった。
だから、裕子さんは、この光景を、きっと知っている、と思った。
そうして、勇気を出して、初めて絵のオーダーをした。
それが、今年の1月だ。

裕子さんにそのことを伝えた日、保育園に行っているお子さんがもらってきた月間絵本が、『もりのおふろ』だったそうだ。

ほかにも、『もりのおふろやさん』(ラストはびっくりだけど、動物たちの様子はそっくり)という絵本があることもわかった。

〈閉ざされた場所などなく、世界はつながっている〉

スピプロ10期を受講して、2016年から止まったままだったアメブロを再開したとき、自分の世界観を表現するカバーデザインがなくて、ずっとなんとかしたいと思っていた。
そのことも、あわせて依頼した。

***

できあがった絵の画像を、一足先に送っていただいた時……

あまりにも自分の心の中(それもわりと深い場所、と自分では思っている)すぎて、

「ようこそ!」
「来てくださいね!」

そう伝えるために依頼した絵なのに、やっぱりしりごみする気持ちが生まれてきて、どこまでもとっておきたい気持ちがあふれ、ジレンマがおそってきた。

でも、デスクトップの壁紙にして、大きく拡大された絵を眺めていたら、ふと、月から雫が落ちそうになっていることに気がついた。

〈月の雫〉

そして、湖面一面に月が映って(実際には、そんなことはありえないのだが)、

(月の雫が落ちた波紋を感じるって、どんな感じ?)
(月の温泉に入るって、どんな感じ?)

って思ったら、たちまち、感じてほしくなり、月の雫温泉に入ってほしくなり、伝えたくなった。

ヘッダーのサイズに合わせて、裕子さんは原画の両端に、森の夜空を描き加えてくださったので、そこに言葉を添えた。

月の雫おんせん5

裕子さんに描いていただいた絵で、初めて、アメブロのカスタマイズにチャレンジした。
残念ながら、言葉を添えたものはサイズオーバーでヘッダーにアップロードできなかったけれど、フェイスブックのカバーにすることができた。

もう十年以上、言い続けている〈じぶん温泉〉って、こういうことなんだと思った。
それぞれに、それぞれの湯治場があるのだと思う。
海かもしれない。空かもしれない。草原かもしれない。

じぶんの温泉に出逢う。

出逢ったら、尽きることのない、かけ流し!

浜田えみな

旅する絵描き 木の葉堂 白澤裕子さんのHPは


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