Emilie Floge History vol8
<オリジナルブレンド>
開店から2年が過ぎた頃のお話しです。
私がまだ学生アルバイトで遅番担当の頃(午後4時から閉店午後10時、退店10時半のシフト)閉店ま際に「まだやってるかい」と言いながら階段を上がって来るお客様がいました。
「もう閉店です、申し訳ありません、オーダーストップです。」
その後も閉店ま際の来店が何度も続き、その頃は「まだ、やってるかい」のおじさんの通称で呼ばれていました。
「10分で閉店になりますが、よろしいですか」「10分でいいよ、あり難い」都内の仕事場からの帰宅途中、クリムトから香るコーヒーの香りに我慢が出来ず、毎日バス停の前でクリムトを眺めていたそうです。「お宅のコーヒー、美味しいね」作田さんとの出会いです。
その日から作田さんは毎日決まった時間に来店しました。ある日、作田さんが「このコーヒー美味しいよ」、「お宅も、オリジナルブレンドを作ったら?」と言って置いていきました。
学生の自分は何も出来ません。作田さんから貰ったコーヒーの話しを報告しただけで、オリジナルブレンドのことは忘れていました。
後にIDPチームの服田氏からその後のオリジナルブレンドが出来るまでの話しを聞きました。
作田さんのコーヒは、服田氏が良く知る自家焙煎で話題のコーヒーで、コーヒー専門店のオリジナルブレンドを焙煎していました。
オリジナルブレンドの焙煎は最低1回200kgと焙煎量が多く、個店での消費は困難でした。
服田氏は、その後キャラバンコーヒー企画部神吉氏に焙煎を相談し、神吉氏も専門店への販路拡大に必要な戦略として、専門店のオリジナルブレンド導入企画に賛同して、発注量がコントロール出来るアフターブレンドを提案し試作を約束したそうです。
オリジナルブレンドが出来上がるのは、それから暫く立ってからの事だったと思います。
作田さんと出会って2年後、作田さんが病気療養中と知りました。残念ですがクリムトのオリジナルブレンドを飲んで頂く事は出来ませんでした。