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おくるみ(スワドル)と発育性股関節形成不全に関する公式情報
本記事を書いている人:医療従事者ではありません。都内国立大学大学院の理系を修了し、育児に関しては公式の情報(信頼できるジャーナル掲載の論文や厚生労働省、諸外国または国際認定機関)をベースに記事を書いたりtwitterやったりしてます。
本記事の目的:twitterで「おくるみ、ダメ、絶対」みたいな情報を見て不安になっている方向けに、リスクとベネフィットを公式情報のみでお伝えします。(普段はふざけた私見を交えますが、今回は真面目にやります。)
発育性股関節形成不全ってなに?
上のリンクからの引用です。
病態としては、周産期に緩みのある赤ちゃんの股関節が、下肢を伸ばした位置でオムツをするなどの間違った育児習慣によって外れていくことが多いと言われています。脱臼は生まれた後に発症するのだという議論から、最近は先天性というより発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。
原因と病態 より
ちなみに「発育性股関節形成不全」は英語でdevelopmental dysplasia of the hipですので、以降、本記事ではDDHと略します。
なぜ「おくるみ」が問題提起されているの?
ある整形外科医(自称)が、写真の製品を含め、おくるみ全般がNGとツイートしたことにさまざまな反応が寄せられています。
![](https://assets.st-note.com/img/1667736479799-kNHOZAVDup.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1667736479838-aKdrIeR0Jh.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1667736479723-sSzyV4b2tz.jpg?width=1200)
「おくるみ」は本当に全てNGなの?
まずは米国小児科学会(American Academy of Pediatrics: AAP)が発信してる以下のweb pageから。
タイトルは「スワドリング(おくるみで巻くこと):これって赤ちゃんに安全?」です。
上のリンクより抜粋して訳します。心配な方は全て読みましょう。Google先生が日本語にしてくれます。
全て読んだ感じ、そもそもAPPはDDHのリスクよりもSIDSのリスクについて強調しています。SIDSの予防についても本記事で触れます。
リスクを知る
親は、おくるみにはいくつかのリスクがあることを知っておく必要があります。 おくるみは赤ちゃんの覚醒を低下させる可能性があるため、目を覚ますのが難しくなります。 そのため、おくるみは、睡眠不足の新生児の親にとって非常に魅力的に見えることがあります。赤ちゃんはより長く眠り、簡単には目覚めません。 しかし、覚醒の低下が問題になる可能性があり、それは赤ちゃんがSIDSで死亡する主な理由の1つである可能性であることはわかっています。
腰まわりを緩めに保つ
おくるみがきつすぎる赤ちゃんは、腰に問題が発生する可能性があります。 研究によると、赤ちゃんの足をまっすぐにしてきつく包むと、股関節脱臼や股関節形成不全につながる可能性があります。これは、太ももの骨の上部が股関節のソケットにしっかりと保持されていない、股関節の異常な形成です。
北米小児整形外科学会は、整形外科に関する AAP セクションと共に、赤ちゃんの足を上に曲げたり外に出したりすることを可能にする「股関節に健康的なおくるみの巻き方」を推進しています。
おくるみをやめるべき時期
赤ちゃんが寝返りを打とうとしている兆候を見せたら、すぐにおくるみをやめましょう。生後2ヶ月から寝返りを始める赤ちゃんもいますが、赤ちゃんはそれぞれ違います。腕の出し入れに関連する SIDS リスクに関する証拠はありません。
SIDSの予防方法
阪南中央病院が、AAPの勧告をわかりやすく上のリンクにまとめています。以下引用がいちばん大切な箇所ですが、リンクもとを熟読されることを推奨します。
レベルA : 良質の信頼性のある科学的根拠に基づいている。将来の研究によっても結論が覆ることは起りがたい。
・睡眠は必ず、上向きで(back to sleep for every sleep)
・表面が堅め(firm)の敷き寝具を使用する。
・「母児同室、添い寝はだめ」を推奨する room-sharing without bed-sharing
・ベッドから柔らかいもの、緩い寝具類を取り除く。
・妊婦は定期的な出産前ケアを受けなければならない。
・妊娠中、出生後ともタバコの曝露を回避する。
・妊娠中、出産後ともアルコールと禁止薬物の使用を避ける。
・母乳が推奨される。
・うたた寝や睡眠時に、おしゃぶりを与えることを考慮。
・暖め過ぎを避ける。
・SIDSの危険を減らす方法として、家庭での呼吸心拍モニタ装置の使用は行わない。
股関節に健康的なおくるみの巻き方
上のAAPリンクにて、国際発育性股関節形成不全協会(The International Hip Dysplasia Institute :IHDI)のリンクが紹介されていました。
2分10秒からご覧ください。
股関節に健康的な商業製品
また、IHDIは独自に股関節にヘルシーな製品の認定もおこなっています。以下を参考になさってください。
スワドルアップが日本では比較的知名度が高そうですが、こちらも“hip healthy products”として認定を受けています。
まとめ
いかがでしたか?なるべく私見を交えずファクトベースで書いたつもりです。我が家は娘が低月齢の時、非常にお世話になりました。皆様もご自身でリスクとベネフィットを判断し、どうぞ健やかにお過ごしくださいませ。
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