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父と息子

父の3回忌があった。息子が高校1年の時父が逝った。泣かず飛ばずの結果だった息子が継続的に結果を出し始めたのが父が倒れてまもなく。私は全く試合を見に行けなかったけど、「今日も打った」「えぐかった」という言葉に元気をもらっていた。

野球が好きだった父。私もよく球場に連れて行ってもらった。家では野球シーズンは毎日野球中継が流れていた。あの年代の人にはよくあることだと思うけど「次は三振」「打つわ」と父が言うとたいてい当たっていた。そんな父だったから息子が野球をすることは嬉しかったんだと思う。だんだん認知症が進みぼんやりしていることが増えてきたころは息子の野球の話をしてもさほど興味を示さなかったけど。父の最期の時間、よく私は話した。父はただ聞くだけで言葉はどこかに置き忘れたようだったけれど私にはちゃんと返事が聞こえるように感じた。息子の野球のことを真剣にお願いしていた。
あの子がちゃんと実力を発揮できるようにしたってな。(実力はあると信じている母(笑))その実力がちゃんと認めてもらえるようにお願いな。絶対野球で活躍させたってな。だから、お父さんに嫌な思いさせられたこと全部水に流すからね(いろいろあったのだ)

そして父が逝ってからAチームへ呼ばれるようになりなんとか力を知ってもらい、今の息子につながっているように思う。もちろん、息子の努力あってこそだけれど、父がスタートダッシュさせてくれたのだ。お父さんありがとう。そんなことを思い出した3回忌だった。

父が生きていて元気だったら、今、どんなに期待しているだろうか。生まれてきた時からすごくかわいがってくれて、子どものような父だったから、同じ年の甥っ子と3人で友だちのように声をあげて遊んでいた。孫が甲子園目指して頑張っている。喜んでくれただろうな、すごく。今もきっとめちゃくちゃ応援してくれてるような気がしてきた。

息子よ。甲子園に行って、おじいちゃんをスタンドの片隅に座らせてあげてよ。ねっ。

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