朝ドラはそれでいい。
朝ドラを半年、初めて観きった。
脚本の勉強になるから、大河ドラマと朝ドラは観るといいと言われ続けてきたが、大河はともかく、朝ドラは今まで長続きしなかった。
長丁場のストーリーは主役以外の人生にもスポットがあたる回数が多いため、毎回、途中で飽きてしまって。
だから、スタートしてからエンディングまでを、毎日欠かさず見届けたのは「わろてんか」が初めてだったのだ。
そして、驚くほどにあっさりと、次の「半分、青い。」が始まった。
大河もそうだが、ことに朝ドラは終わった余韻にひたる暇がない。
「わろてんか」主人公のてんは、多くの朝ドラヒロインのように、逆境に負けずに自分の信念を貫くというタイプのわかりやすく強いヒロインではなかった。
どちらかというと、周りの状況に翻弄されつつ、立ち止まりつつ、それでも流れに乗りながら時代を過ごしてきた女性として描かれていた。
かつての「あさが来た」と、映像としては当初、時代の既視感があったものの、てんは、あさのようにグイグイと女だてらに商売に乗り込んでいくという感じではない。周りに決断を迫られても、はっきりせずに「うーん」と考え込んでいるシーンがけっこう多かった。
そういう意味では、見ているほうとしては、ちょっと物足りないヒロイン像に映るときもあった。
「笑い」がテーマであり、朝のドラマらしく、不快だったりリアルに悲しいというシーンはどこにもない展開。
本来は10代の女優さんが40代や50代を演じていることに、肌のつや感に無理があるなどと毎回無粋な物議になるものだが、ずっと観ている者としては、若々しかったてんの頭に白髪が増えたり、着物がシックになり、たたずまいや目の輝きに徐々に変化が出てきたり。
女優さんそのものの変化や成長がみられるのも、半年ならではのものだろう。
朝ドラはこういうことでいいんだよな、と、つくづく思った。
半年間、ひとりの人生に毎日少しだけ併走する朝ドラ。
メジャーな女優さんがオーディション無しで決まった配役よりも、ここからスタートする新しい女優さんであればあるほど、あとで違う民放ドラマで姿を見ると、どこか身内感覚で応援したくなる。
そして、ライフワークとして半年見続けることができた自分にも、なんだか不思議な自信がついた。
「半分、青い。」も、引き続き見続けてみるとしよう。
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