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「体育会系調理補助2」〜いよいよ社会への挑戦が始まる!!〜

 調理補助応募の返事が届いたのは、2月の半ばだった。電話で、年齢、希望日数など、2、3聞かれたと思う。けれど、もう憶えていない。希望した勤務地は、なんと 歩いて4分の脳外科病院だ。通勤ストレスも全くない理想的な勤務地だった。

 「病院の入口で、待ってて下さい」という伝言で、私は面接日に予定の15分程早く、待ち合わせ場所に着いた。まだ、冬の真っ只中。私は、時間が近づいてくると、コートを脱いで待った(訪問時の心得)。
 まだ、誰も来ない。
 5分ほど待つと携帯が鳴り、応募の時話した「ホサカさん」と言う人が出た。
「あ、山田さん、今 どこですか?」
「おはようございます。今 病院の入口です」
「あ、今 迎えに行きます」
少し待つと「ホサカさん」が来た。50代位の中肉中背の人だ。

 後について病院の横にある厨房らしい場所の入り口から入ると、中の休憩所に通された。

 履歴書をだし、私の希望と先方の希望とを話し、「店長」が、やって来た。白い帽子を被ったままだが、イガ栗みたいな顔をしている。

「まあ、簡単な仕事だから 大丈夫だよ?」

 私は、まんまとだまされた。このあと、この「体育会系」のような調理補助の仕事を「辞める」「辞めない」を何度と繰り返しながら、「辞められなく」なっていくのだ……

            つづく


画像は、Coda Chieさんの、
    「サン テン イチイチ」
     です。

     ありがとうございます。


 ©2021.2.1.山田えみこ

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