リリーのすべて
この映画は、友人が貸してくれたうちの1作品である。
サイコサスペンス系やミステリー系が好きなわたしにとって、恋愛映画はあまり興味をもつジャンルではなかったので、最後の方にみた作品だった。
みてみると、恋愛映画ではなく、ジェンダー問題を基軸にひとりの男性の人生を描く映画であった。
ある絵描き夫婦の夫が、ある時、女性性に目覚め、愛への葛藤や、身体と心の解離への葛藤、周囲に理解されない葛藤などを描いた映画である。
現代でも、トランスジェンダーは異質なものとして捉えられてはいる傾向があるが、LGBTという言葉が世に知られるようになり、性転換手術も行えるようになるなど、徐々にではあるが、世間に受け入れられるようになってきている。
しかし、この映画の中では、ジェンダー問題はまだ世に知られていない問題であったため、主人公の苦悩は計り知れない。
そのような中で、女性となった夫を最後まで支え続けた妻に、そして、本人の自分として生きたいという思いの強さに、尊敬と感動をしすぎて、泣きすぎ、翌日には目が腫れ上がったほどになった。
ちなみに、友人は違う作品で泣けたそうであるが、わたしはそちらでは全然泣かなかったことを考えると、やはり、人によって感動ポイントが違うことがわかる。
しかし、この作品は一度見ておいて損はないように思う。
多様な価値観をもつ現代人の理解に一歩近づけるであろう作品である。
加えて役者も美しい。
こちらは、わたしのお気に入り。ぜひ、聞いてみてほしい。