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延命の現実

以前も話をしたことがあるけれど、口から物が食べられなくなった時の栄養を補充する方法には、点滴をする方法と胃に栄養剤を注入する方法がある。

胃に栄養剤を注入するには二通りあり、一つは鼻から管を入れる方法、もう一つは胃に穴を開けて瘻孔(ピアスの穴みたいな感じですね)をつくる方法です。前者を鼻腔栄養、後者を胃瘻と言う。

多分、医療従事者じゃない方は、胃瘻に対してはあまりいいイメージを持っておらず、「胃瘻はちょっと、、、」って方が多いように思う。

点滴か栄養剤か、どちらかと言えば、やはり胃腸を使う栄養剤のほうが身になるかな。傷とかも栄養剤で栄養補給をしている人の方が治るのが早い印象もあるし。

そして、栄養剤の注入方法はどちらの方法でも結果は同じ。どちらも栄養剤の最初の到達点は胃なので。

それで、なぜこの話を出したのかと言うと、入院している患者さんで栄養剤を使っているひとがいるのだけど、その方の家族が胃瘻はどうしても嫌だといっており、ずっと鼻腔栄養をしているのに疑問を抱いたから。

わたしは、鼻から管を入れたことはないのだけど、おそらくめちゃくちゃ不快だと思う。それに、鼻腔栄養の場合は1週間に1回は管の入れ替えをしなければいけないし、その度に痛い。喉に違和感もあるし、管を抜いちゃわないように場合によっては両手にミトンをされる場合もある(これは身体抑制になるので家族の同意の下)。

それなら、胃に穴をあけて、瘻孔を作って、そこから栄養剤をいれたほうが、本人にとって楽だと思う。

でも、家族は胃瘻のほうが辛い、身体に穴をあけるなんて!みたいに思われているのか、鼻腔栄養で、と。

説明をしても、ピンとこないのもあるんだろう。

医療従事者以外って、きっと、医療の現実が全くわからないんだろう。

医療現場って閉鎖的だものな。

ドラマよりも現場はずっと過酷。

医療制度が全然変わらないのも、きっと国の偉い人たちも、医療現場の実際を知らないからなんだろうな、と思う。

でも、本当にこういう状況になっても延命を望むのか、とか、こっちの方が楽な治療なのに、とか、思うことが多い。

もちろん、主観だから家族には言えないけど。

言っても、リアルな想像はできないから、結局同じような選択をする人が多いしね。

プライバシーの問題もあるけど、もっとたくさんの人が医療現場の現実を知る必要があると思う。

最後はすべての人に身近にふりかかる問題だからこそ、だ。

不老不死は、人間が古から求めていることだけれど、この姿は、私たちが本来求めていた姿とは違うのではないだろうか。

医療をもっと身近に知る方法があればいいのに。




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