我が夫(つま)へ ♯袖摺れ
夫の還暦と定年退職のお祝いに東北を旅した。
ここは秋田県と青森県の県境にある十和田湖。途中、観光バスの車窓から見えた湖の雄大な風景に胸が躍る。
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バスを降りて湖畔を歩いた。
4月の半ばだというのに、山並みが雪で白く染まっていた。お土産屋のおばちゃんの話だと前日にかなり雪が降ったそうな。
だから空気が凜と冷えているのね。
でも、今日は晴れ。青空と雲と山が湖水に映って美しい。
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今回の旅は名古屋発のフルムーンツアー。私たち以外は皆さん70代くらいの高齢者だった。手を繋いだり背中にそっと手を回してエスコート・・・なんて光景は皆無。どのご夫婦も微妙な距離感を保っている。
でも、こうして一緒に旅をされるのだから、日頃から仲良く連れ添っているんだろうなぁ。
せっかくだから手を繋ごうよ。
夫の大きな手に私の指を絡ませる。
袖摺れの君。我が夫(つま)。長く寄り添ってきた人。
遊歩道の先には、高村光太郎の乙女の像。
春はもうすぐ。
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