好きだからこそ ♯色節
「ずっと好きだった」
ありったけの勇気を出して、人生初の告白をした。
彼は驚いて目を丸くした後、頬を赤らめ、
「ここじゃ、ゆっくり話ができないから・・・」
と言って、私の腕を掴んだ。
ぐいぐい引きずられるようにして連れて行かれた先は、体育館裏。
人がごった返していた校舎の廊下から、私たちは人が居ない静かな場所に移った。
お互いに卒業証書の筒をもったまま、ゆっくり向き合う。
私の精一杯の気持ちに何と応えてくれるのだろうか・・・。ドキドキする。
彼は最初に「ごめん」と言った。
「君の気持ちに全然気づいていなかった。ごめん。」
彼の言葉が続く。
「これから僕たちは別々の道に進む。離ればなれになる。君の気持ちは嬉しいけど、君のそばにいられる自信が今の僕には無い。ごめんね。」
わかってる。私は地元の名古屋の大学へ、彼は海の向こうの大学へ。これが最後のチャンス。
だから伝えたかったの。
これで未来へ進める。
私のもう一つの卒業式。
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