炎天下のなか汗を流して働く若者を見て、久しぶりに感じたこと
7月に入ってから、真夏の暑さが続いています。
日中は太陽がギラギラと照りつけて、日差しが痛いくらいです。
そんななか、買い物に行くため、西陽差す午後の一番暑いときに、田舎の細い道路を車で走っていたところ、作業服姿の男性2人が道路わきの草刈りをしていました。
作業はほぼ終わった様子で、草刈り機を抱えて歩き出したところを、私は車ですれ違いました。
この時、ふと、この男性たちをちらりと見たら、一人は50代くらいの年配者で、もう一人は新卒っぽい感じの(10代末から20代前半くらいの)若い男の人でした。若すぎて作業服が初々しく感じられました。
年配者も若者も、暑さで大粒の汗をポッポとかき、この日一日の外作業のせいなのか、顏は日焼けして真っ黒になっていました。
私は心の中で「お疲れ様でした。ありがとうこざいます。」とつぶやきました。
ちなみに、ここは田舎なので、油断しているとすぐに雑草がグングン伸びていきます。
そこで、定期的に道路脇の草を刈る作業の風景を見かけるのですが、今回もそうした草刈り作業だったようです。
だけど、ちょっと私がビックリしたのが、新卒者らしき若い男性が、汗だくになって日焼けして草刈り作業をしていた…ということ。
いつも中年以上の男性が作業をしているところしか見たことがなかったので、こんな若い子が外で汗をいっぱいかきながら働いている姿を久しぶりに見て、とても新鮮な気持ちになりました。
本当は、ガタガタの中高年が老体に鞭打って肉体労働を頑張るよりは、若くて元気な子たちが、外でエネルギッシュに働くとこが本来の姿であり、これが自然の摂理なんじゃないか…と。
すると、いろんな思いが心の中を駆け巡りました。
あれ?今時の若い子って、何をして働いているんだろう?
昔は、ニッカズボンを履いてガッツリ労働している土方のお兄ちゃんがいっぱいいたけど、今はあまり見かけないような…?
最近は、「ネットビジネスやってます」っていう男の子は私の周りでも見かけるけど、汗をむんむんかいて日焼けした男臭い『労働男子』って感じの男の子は、最近、いないような気がするなぁ…。
たまたま私の周りにだけ居ない…それだけのこと、なのだろうか…?
うーん、どうなんでしょう。
女の子で、職人系の仕事に就いて「楽しいです!」と生き生きと汗まみれになって頑張っている子は増えているような気がするけど、男子はちょっと引けているような感じがしますが…。私の気のせいなのかな…?
…と、そんなことを思い、いろいろ考えを巡らせたのでした。
いろいろ感じて考えるくらい、心が刺激を受けました。それくらい、若い子の肉体労働の姿を見たのは本当に久しぶりだったのです。
確かに、こうした仕事に限らず、一般家庭の田んぼや畑などで草刈りしている人たちにしても、ここ最近は、草刈りは中高年もしくは高齢者の仕事になっていて、若い子がやっているところは全く見たことがなかったなぁ~と気がつきました。
そもそも、外で汗だくになって働いている人を見ても、みんな中年以上で、若い子の姿は、ほとんど見かけません。休日でも見かけないです。
学校の部活動なら、汗かいて日焼けしている子はたくさんいるけど、せいぜいが学生まで…。外で力仕事や肉体労働をしているところは、ここ最近は本当に見たことはないです。冬の雪かきでも、学生が家の雪かきするところはやっぱり見たことがないなぁ~と思ったり…。
自然相手に体を使った外での作業は、運動の延長みたいな感じで、(体力的には疲れるけど)心地よい疲れで気持ちがよくてなかなか良いものなんだけど、どうなんでしょう??
若い子たちの意識というより、今時の親世代が、若い子たちに家のことや作業的なことをさせないのかな…。自分の子どもにも、家のことで責任を担わせて任せることは、今の親世代には難しくて苦手なことなのかもしれません。
そういえば、先日、うちの町内会で、近くの河川沿いの草刈り作業(奉仕活動)がありましたが、一世帯一人ずつ参加することになっているこの活動でも、出てくるのは50代・60代・70代…のオジサンたちが主です。
さすがに80代になると「体力的に無理」ということで、属している町内会の組に「出不足料」を支払い、作業を免除させてもらうことが多くなります。
たまに、「お父さんが出られないから」と、その家の長男息子くんが参加することもありますが、それはめったにないことで、いつもはほぼ親世代の中高年…。いや中年も通り越して、高年の人たちで頑張ることがほとんどです。
私が嫁いだころは、みんな若かったけど、年々、年を取る一方で、若手の参加がなく淋しい限りです。うちの組は特に高齢者率が高いから、余計にそう感じるのかもしれません。
そういえば、この前、新聞の記事で、北陸のとある地区で町内会の草刈り作業があり、作業当日は別の用事で参加できなくなった高齢者が、別日に一人で草刈りをしていて、足を滑らせ転落して亡くなった…というニュースを知りました。
その地区も、やはり少子高齢化が進んでいるそうで、どの世帯も年寄りばかりになり、若い人の参加がない…。そのため残った高齢者で地域の自治活動をしている…ということを後付けのニュースで知りました。
だから、その亡くなられた男性は、自分だけ作業に出られないことを申し訳なく感じ、別日に一人で作業をして、不幸に遭われたのだと…。
うちの地域も若い世代が減っていき、どんどん高齢化が進んでいるので、この事故がとても他人事とは思えず、「これは大変なことだなぁ…」と思ったのでした。
今までは、町内の自治活動は、住んでいる者たちで話し合い、活動を繰り回して、維持管理を皆で助け合ってやってきましたが、これから年寄りばかりになっていくと、地域のことをやっていく担い手がいなくなり、徐々に町が荒れていくかもしれないな…と思いました。
家屋でもそうですが、高齢でも掃除ができるうちはいいんです。掃除が出来なくなるほど体力が落ちると、どんどん家の建物や庭が荒れていき傷んでいきます。手入れができなくなると、崩れ落ちるように一気に状態が悪くなっていくのです。
ご近所の高齢者所帯の家を見ていて、それを痛感します。
町内会活動についても然り。
今は、中高年が老体に鞭打って奉仕活動に参加しているけど、みんな死んでいなくなったら、町はどうなっていくのでしょう…?
外注すればいいとか、役場にやらせればいいとか、そういうことを平気で言う人もいるけど、そもそも「草刈り」の体験がない人間が徐々に増えていくわけだから、外注したくても「できる人」の数がが絶対的にいなくなるんじゃないかな?…と。
居なくなれば、どんなにお金を積まれても、人材不足で回っていかなくなり、やがて、きれいに下草を刈った美しい風景ごと、「草刈り」という文化そのものもそっくり丸ごと消えていくのではないかな…。
そうなったら、この風景や私たちの暮らしはどうなっていくんだろう…。
…とまぁ、そんなことを、たまたま偶然すれ違った「草刈りの若者」の汗を見て、ふと感じたのでした。
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