初めてのパソコン ～我が家の家宝Windows98～

我が家には、Windows98のノートパソコンが今もある。

昔、夫が買ったものだ。

もちろん、今はとても使えないので、「記念」として保存している。

10年ほど前に、起動させてみたけど、重くて重くて使い物にならなかった。

でも、これを買った当時は、最先端で新しくて、私たちの夢と希望がいっぱい詰まっていた。

◇◇◇

時は20世紀末。

私がまだ20代の頃は(1990年代初頭)、職場ではまだワープロが主流で、パソコンを持っているのは、ほんの数人だった。

私も、初めてのボーナスで買ったのは「ワープロ」だった。当時で10万円チョイしたから、今のパソコンくらいの価格だ。

ワープロを使ってテストやプリントを作成し、データはフロッピーに保存。

作成した文書をプリンターに印刷して、それを学校の印刷機で生徒の数だけワラシに印刷する。

私が社会人になってすぐの1990年代前半は、「文書を作る」ための機械で充分だった。通信は電話かファックスしかなかったし･･･。

たまに数学や理科の先生なんかが、自分用のパソコンを職場に持ち込んで、仕事に利用していたけど(ブラウン管テレビの大きさのデカいやつ)、私たち文系は、ワープロだけで一通りの仕事は完結できたから(確か表計算もワープロでやってくれたような気がする)、アナログなまま生きていた。

でも、社会でＩＴ化が進んでいくと、アナログだった職場にも有線LANが引かれるようになり、便宜上、パソコンが必要になってきた。

ちらほらとワープロからパソコンに買い換える先生も出てきて、少し気になってきた。

そんな頃、夫が、我が家で最初に自分用のパソコンを買ったのだ。

Windows98、黒のノートパソコン。

へー、これがノートパソコン？

そういえば、職員室で私の向かいに座っている英語の先生、同じ形のノートパソコンを持っていたなぁ･･･と思いつつ、夫のパソコンを眺める。

まだ無線LANなんて無かった時代だ。家で使うのに、有線LANのケーブルを引いてもらった。

ケーブルをパソコンに繋いで、スイッチを入れる。

夫は自分の職場で、同僚のパソコン通の皆さんから「パソコンの使い方」をいろいろ教えてもらったようで、それをそっくり私に教えてくれた。

夫が、新しいパソコンでネットを開いて見せてくれた。

わぁ～。

気持ちがどんどん高揚していく。マウスをカチカチやりながら、二人並んで夢中になった。

今ほどネット世界が普及していなかったから、入手できる情報も限られているし、ホームページも、掲示板も、いろいろなサイトも、今思えば大雑把でシンプルなデザインのものが多かったけど、パソコンという機械を通して、いろんな世界と繋がれることがとても面白く、興味深く感じた。

その後、私も自分用のパソコンを購入。

確か、WindowsMe(ミュー)だったと思う。2000年に発売されたものだ。こんなの、今の若い子達は知らないだろうなぁ･･･(汗)。
(よくフリーズしたんだよ、当時のWindowsは…。)

最初は、専ら「仕事用」に使っていたのだけど、退職した後は、自分の楽しみ＆趣味で使用。

ネット通販で買い物をしたり、旅館やホテルやチケットの予約をしたり、道を調べて地図をプリントアウトしたり、調べ物をしたり･･･等、家に居ながら何でもできるので、とても便利だった。

やがて、パソコンの他に「スマホ」も使うようになる。

インターネットが更に身近なものになった。昔は一家に一台･･･という感じだったけど、今は一人一台。日常生活に無くてはならないものになってきたと思う。

それでも、パソコンは、今も私の大切なツールだ。

ちなみに、Muの後は、Windows7を経て、現在はWindows10を使っている。

インターネットの進化と共に、どんどん大きくなっていく情報の容量に合わせて、パソコンも新しいものへと買い換えていった。

◇◇◇

今まで、いろいろなものを使ってきたけど、一番最初に我が家にやってきたパソコン「Windows98」だけは、我が家の家宝としてとっておきたいと思い、大事に保管している。

なんたって、まだ20世紀だったころのパソコンだもん。すごいよね。笑

初めてインターネットに繋げた時の感動と驚きは、今も鮮明に覚えている。

そして、1990年代の空気感とともに、まだ若かった私たちの期待と高揚感、そして「新しいもの」へ好奇心。それらが、Windows98には染みついている。

今の若い子達には信じられないかもしれないけど、ネットを通して世界と簡単に繋がり、世界中の人々と同じ時間に同じ情報を共有できるようになるなんて、windows98当時は、ホント夢のような話よ。

動画を作成したり、イラストを描いたり、写真を公開したり･･･。それがこんなに簡単に楽に世界中に発信できて、老若男女みんなが平等に自由に楽しめるようになるなんて、夢のまた夢･･･だったのよ。

今思えば、あの頃は、まさにインターネットの黎明期だったなぁ･･･。

少し甘酸っぱい、懐かしい思い出。