「あなたのこと忘れないわよ」と言った認知症のおばあちゃん
認知症グループホームで介護士をしてた頃、入居者に学校で音楽の先生をしていた女性がいた。先生は自由奔放な性格で、イエスノーもしっかりしていた。日本人らしくないというか、でもだからなのか、とてもみんなに好かれていた。何よりも生徒さんがたくさんホームに来る。いくらお世話になったといえど、認知症になって施設に入ってこんなに来るだろうか?週末に決まってグループで本当にたくさん来るのだ。そしてお正月、グループホームに有り得ない数の先生への年賀状が届いた。私は今思えば羨ましかったのだ。たくさんの人に好かれてる先生に。人気者の先生に。
ある日お散歩の途中で、「先生、生徒さんのことって覚えてるの?」私は意地悪を言った。認知症の人に向かって。「覚えてるわよ」と先生は言った。ウソだ、覚えてないくせに。長谷川式○点のくせに。
半笑いの私。「じゃあ私のことは?」
「忘れないわよ」
と先生は私の目をまっすぐ見て言ってくれた。
先生、私は忘れてないよ。忘れられないの。
だからか先生が人気者だったのは・・・。
毒親のための介護相談ルーム https://cocopura.webnode.jp/
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