見出し画像

【YIN-YANG 】牧田恵実×Botchy-Botchy 二人展

この度は二人展『YIN-YANG』にご来場いただいた皆様、心より御礼申し上げます。おかげさまで、無事に展示を終えることができました。

二人展のイメージ
YIN-YANG 

『YIN-YANG』というタイトルは私が名付けたもので、日本語で「陰陽」を意味しています。陰と陽、相反するものが共存し、調和する―そのようなテーマをもとに今回の展示を構成しました。


Botchy-Botchyさんとの出会いは、2022年のグループ展『nuranura展』でした。彼は壮大な満紅の滝を、私は巨大な男根の森を描き、お互いに異世界のエネルギーを放つ作品を発表していました。当時は「面白いなぁ」と感じる程度でしたが、今思い返すと、単なる共演以上に、何か目に見えないものが交わった感覚があったように思います。

Botchy-Botchy 作
修験道


牧田恵実作
サンクチュアリ

今回、この展示の機会をくださったのは、キュレーターのマサ首さん。彼の提案がなければ、レッドキューブギャラリーでこの二人展も実現しなかったでしょう。本当に感謝しています。


展示を通じて、私自身も多くの発見がありました。私は純粋芸術、表現主義の背景を持つため、Botchy-Botchyさんの作品の思想を全て読み取ることはできませんでしたが、同じ空間で作品を並べる中で、新たな気づきを得ました。それを少しでも多くの方々に共有できればと思っています。


Botchy-Botchy 作

特に今回、Botchy-Botchyさんの新作『怒りシリーズ』には強烈なメッセージが込められていました。「もっと日本人女性はこの社会に対して怒りを表に出すべき」と彼は言っています。この作品の制作過程で、彼は実際に友人や知り合いの女性たちから「怒りの表情」を写真で送ってもらい、それを元に描いています。日本人女性が普段表に出さない感情を、Botchy-Botchyさん独特のタッチで見ると、不思議な感覚にとらわれました。それは怒りを表に出さないという日本文化の美徳感に触れつつも、どこかやるせなさを感じさせるものでした。


15点の新作「怒りシリーズ」

もう一つ印象的だったのは、『無口』と題するガーターベルトをした下着姿の女性たちの作品。サイレントマイノリティーの女性たちを描いた絵だそうで、最初は幻覚か夢遊病か何かをテーマにしているのかと思いましたが、実際は現代社会で声を上げられない女性たちを描いているとのこと。私自身、作品を通じて重なる部分もあり、埋もれていた感情が湧いてきた瞬間がありました。


Botchy-Botchy 作
無口

Botchy-Botchyさんの作品には社会批判的なメッセージも感じますが、何よりユーモアにあふれています。彼の絵は笑いや癒しをもたらしつつ、どこか奇妙な感じも漂わせています。


Botchy-Botchy 作
女性ホルモン最高!
ノーマンゲノーライフ
ロッケンロール
灰皿部長

今年、私はBotchy-Botchyさんの肖像画も描きました。彼の本名の由来は(ここでは伏せますが)ギリシャ神話の酒と狂乱の神、ディオニソスにあります。ディオニソスは頭に葡萄の葉の冠をのせていますが、私は初めて彼と出会った時のことを思い出し、その冠の中心に「満紅」を描き加えました。また、彼の手には10年以上前に私が描いた初めての男根作品「男根の瓶詰め」を持たせています。この瓶詰めの作品は、Botchy-Botchyさんに非常に気に入ってもらいました。彼の作品や姿勢からは、男性社会に対する女性の怒りを深く理解し、それを受け止める姿が感じられます。また、彼の内には女性に対する思いやりや共感、そして繊細な女性性が宿っていることを強く感じます。


牧田恵実作
処女の征服欲
(この頃はまだ、男性に対する壁も分厚く
アンビバレントな感情が渦巻いていた。)
牧田恵実作
Come l'ombra

そのようなこともあり、今回は彼を女装させて描いてみました。Botchy-Botchyさんの内に秘めた女性性は、まさにこの『YIN-YANG』というテーマにふさわしいものだと思います。

女装をさせたBotchy-Botchy さん


展示が終わり、皆様と交わした会話の一つ一つが、私にとって非常に貴重な経験となりました。特に、男根の作品を前に「男性器は、肉体を持つことの面倒くささの象徴だ」と言われた方や、初めて勃起を経験したときの小説のような深い話など、多くの興味深い意見に触れることができました。

牧田恵実作
祭壇
ペニスシリーズ

今回の皆様との交流が今後の活動の励みとなります。これからも、さらに精進を重ねてまいります。

ありがとうございました。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?