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2024年10月前半日経平均相場の振り返り


①    日経平均チャート

10月前半相場を振り返ると、日経平均株価は9月末に1910円安と大幅安があったものの順調な右肩上がりとなり、一時40000円台に乗せた。

②    日経ボラティリティ・インデックス

しかし注意しなければならない指数がある。
日経ボラティリティ・インデックスである。
8月の急落時に70台まで上昇した後、徐々に低下したものの、20台からは、なかなか低下しない、10月に入っては逆に上昇し30台に乗せた。
このことを考察すると、今の相場は短期売買によるババ抜き状態に近いと言っていいのではないだろうか。
投資家たちは日経平均が戻り高値を取っていても、いつ何時急落があるかもしれないと意識している現れである。

③    IPOインデックス

前回、東京地下鉄(東京メトロ)上場の件を記述したが、10月に入ってからもIPO銘柄の不調が止まらない。
QUICK IPOインデックス(単純平均)は2カ月ぶりの安値をつけた。
特に時価総額の小さいIPO銘柄の株価がさえない。
IPOインデックスは過去1年間にIPOした銘柄の値動きを示すものであるが、3月につけた高値396618より20%低い水準となっている。
日経平均株価が7月につけた年初来高値42224円を8%下回っているのと比べても、8月の急落からの戻りが鈍い。
足元では初値が公開価格を割る事例も相次いでいる。

④    2024年IPO戦績

2024年に入ってから上場した約60社のうち、上場日に年初来高値をつけた銘柄は4割を超えている。
上場から1週間以内に年初来高値をつけた銘柄まで加えると7割に達する。
23日の東京地下鉄上場が、相場の転換点になると良いのであるが、注目しておきたい。

⑤    株式時価総額の増減ランキング

2024年3月末から9月末まで、企業価値を示す株式時価総額の増減ランキングが出た。
増加率の首位は電線大手のフジクラだった。
高い技術力を成長につなげ、株主還元を拡充する企業が上位に入った。
業績が好調な半導体関連では、時価総額が減った銘柄が相次いだ。
フジクラは20年3月期の業績悪化で事業の選択と集中を加速し、高収益企業に変わった。
株主還元にも意欲的に取り組む。4位のベイカレントや8位のリログループも増配を計画している。
3位のIHIや11位の三菱重工など、防衛関連の銘柄も上位に入った。
地政学リスクの高まりで投資家の買いを集めたほか、防衛以外の事業も堅調だ。
景気変動の影響を受けにくいとして、ゲーム関連も注目された。
13位にセガサミーホールディングス、14位にコナミグループが入った。
アクティビストによる株式保有も株価上昇を通し時価総額の拡大につながった。
5位の三井松島や7位の日鉄ソリューションズ、15位の三和ホールディングスなどである。

⑥    エヌビディア株価

一方、時価総額の減少率上位には半導体関連が並ぶ。
業績は堅調で増配も予定しているものの、株価は軟調だ。
投資家の間では、米国による対中半導体輸出規制やAIブームのピークアウト感を懸念する見方が広がっている。
しかしニューヨーク市場では米エヌビディアが株価チャート上で上昇トレンド入りをうかがわせるサインがともった。
三角もちあいからの上放れだ。
エヌビディアは6月20日と8月26日の高値を結んだ線と、8月5日と9月6日の安値を結んだ線で三角もちあいが形成されていた。
直近の株価は三角形の頂点から上方向に突き抜けた格好だ。
これを見て東京市場では半導体関連株に軒並み買いが入った。
エヌビディア次第というところもあるが、今後実際の業績拡大が確認されれば、株価の上昇は継続する可能性がある。

⑦    セブン&アイHD

もう一つセブン&アイについてニュースが出た。
4日にセブン&アイ・ホールディングスは、スーパーや専門店などの事業を束ねる中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」を設立すると発表した。
祖業のスーパー「イトーヨーカ堂」などコンビニ以外の事業を分離して中間持ち株会社の傘下に置く計画で、外部のパートナーとなる企業を選定して株式を一部売却するというものである。
セブン&アイとしてはパートナーとなる企業の協力も得ながら、赤字が続くスーパー事業の立て直しを進めるとともに、経営資源を主力のコンビニ事業に集中させ、経営の効率化を進めて企業価値を高める狙いがある。

 

⑧    イオン決算発表

そして9日にイオンの決算発表があった。
2024年3~8月期の連結決算は、純利益が前年同期比76%減の54億円だった。
主要8事業のうち赤字になった総合スーパーなど5事業で営業損益が悪化した。
独自ポイントの販促やパートなど賃上げに伴う人件費、既存店の改装など経費がかさんだ。
前年同期の税効果会計の反動で税負担が増えた。
ヨーカドーに続いてイオンまで業績悪化した、今後のスーパー事業の立て直しに期待したい。


 


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