ネットでの危険な出会い体験談2
⬛︎そのニ「初体験したかった男」
この男とは、会う前から頻繁に電話をしていた。寝落ち通話のような、繋いでいるだけでお互い何も話さず長電話ということもよくやっていた。体を鍛えているということで、鏡の前で撮った上半身裸の自撮り写真が送られてきていた。
正直、筋肉質の男は好きではないのだが、細マッチョ程度だったので許容範囲だ。写真で見る限り、顔も目がぱっちりした可愛い系のようだ。好みの顔立ちではないが、整ってはいる。芸術家気質なところもあるようで、MVを制作したこともあると言って動画を送りつけてきたり、私が言った格言のようなものをぱっとハート形の中におさめたものを描いて画像を送ってきたりした。なんだかそれが全て可愛らしく思えた。
気軽に会える距離ではなく、私が遠出をした帰り道に途中下車することを提案すると、「来て!!!」と興奮気味のLINEが返ってきた。こういうのを犬系と呼ぶのだろうか。必要とされるのが嬉しく、私は男に会うことにした。
当日は、比較的大きなターミナル駅で待ち合わせをした。駅のロータリーに車で入ってきた男を見つけた時は心が踊った。いつも電話でしか存在を確認できなかったこの男とやっと会えるのだ!助手席に乗り込み、本物を見て、私が写真で見ていた顔と同じ人物であることを確認して安心した。写真が盛れすぎている、加工されすぎているわけではなかった!ちゃんと本人も整った顔立ちだった。
近くで見ると、片耳にピアスを3つ付けており、細めの腕にジャラジャラとしたチェーン。こんなチャラそうな見た目の男、別に好みではないのにかっこいいとすら感じてしまった。男の地元まで行くために走る道すがら、ここがよく行く服屋などと案内してくれた。絶対に買いに来ることはないけれど、ドライブデート気分で楽しかった。
初めから会う目的は一つだけだった。車はラブホテルに着き、駐車場からそのまま部屋に入り、部屋で会計をするというシステムだった。裸になった男は、画像で見ていた通り、上半身にタトゥーが入っていた。
ある程度普通の行為をした後、男が後ろの穴に入れたいと言ってきた。無論、私にそんな経験はない。困惑しつつも応じた私、なんの準備もなく入ってこられた。引き裂かれそうな痛みだった。「無理無理無理…痛い痛い痛い痛い…!」私は堪らずそう言った。すぐに離れた私が泣きそうになっていたからか、「おいで」と両腕を広げてくれたが、なんの慰めにもならなかった。普段なら好きなハグも今回ばかりは愛情表現とも感じられなかった。
それまではなんだかいい雰囲気だったような気もしたが、一気に現実に引き戻された。聞いたら、男も後ろに入れたのはこれが初めてらしい。私もネットで見た知識でしかないが、中を綺麗にしたり、周りから入念にほぐしたり、細いものから始めて徐々に中を広げていったり、準備をするものじゃないの?
私の心は修復不可能なところまで沈んでしまい、テキトーに切り抜け、帰る流れに持っていった。待ち合わせをした駅まで送ってもらい、帰路に就いた。長旅だったこともあり、家に着いてどっと疲れが出てすぐに寝落ちた。