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彼の好きなところ4

好きポイント④作品への愛が深い

彼にはよくアニメを勧められた。彼に勧めているつもりはなくても、よく知らないネタを振られた。彼は「そっか、観てないもんね…」と悔しそうに嘆く。単純な私は、その該当シーンを見たくてアニメを全話観る。

彼の凄いところは、それがどの回のどのシーンかを正確に覚えているところだ。それだけではない。比較的長めのセリフをそのまま覚えているのだ。大抵、ネタを振られる時はその一言だけだと思うのだが、数十秒はあると思えるセリフを淀みなく諳んじているのだ。もちろん、私はそんな長いセリフを覚えているわけはないので、合っているか確認してはいないのだが。

ホテルでゆっくり起きた朝、彼が流している音楽が私にも馴染みのある映画の劇中歌だったため口ずさんでいたのだが、途中で知らない歌詞が出てきた。彼に聞いたら、映画化される段階で2案あり、今流しているのはボツ案の方の歌詞だと言うのだ。そんな曲を日常的に聴いているぐらいには作品を愛している。

おそらく、一般的にはこういうのをオタクと呼ぶのだろう。しかし、私には「好きなことをとことん突き詰める人」として映り、とても魅力的に思えた。一つのことに対してこれだけ情熱を注げるのが凄い。彼が目をキラキラと輝かせながら語ってくれるのがとてと愛おしかった。きっと、少しだけ知識のある私が興味を持って「どうしてこんなこと知ってるの?」と言わんばかりに聞いていたのが嬉しかったのだろう。

私があまり詳しくないアニメで共感することができないでいると、彼は自分のスマホの小さな画面で動画を見せながら一所懸命に解説してくれる。隣で体をぴったりとくっつけ合って、少しでも彼の表情が見えないかなと思いながら動画を視聴するあの時間がとてつもなく幸せだ。

好きなものについて少年のようにはしゃいで語る彼がたまらなく可愛い。たかだかアニメの知識なのに、私はそんな彼に知性を感じていたのかもしれない。どうしても私は全て言葉にしたくなる。だからこそ、自分の好きなものに対してその素晴らしさを言語化できる彼に魅力を覚えた。

『鬼滅の刃』も彼に勧められてアニメ全話観てしまったし、ネタを振られた『呪術廻戦』も一気見した。今頃彼も、私がAmazon prime videoで視聴している『東京リベンジャーズ』を観ているのだろうか。

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