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彼の好きなところ1

彼が私のことをどう思っているかはここでは一旦忘れたフリをして、どっぷり幸せに浸ろうと思う。彼の好きなところを挙げればキリがない。今回からは彼の好きなところをシリーズ化していく。

好きポイント①よく気付く

一つ目は、体調や心の変化によく気付くところだ。まだ私が彼を好きになる前のこと。その日は生理痛でお腹が痛かった。接客業だからというのもあるが、それ以前に私は演じるのが上手いので、多少の痛みは表に出さずにいられる。同僚や上司からも体調を気遣うような言葉は掛けられていない。よしよし、バレていないと思っていた時、彼は私が「おはよう」と言ったその一言だけで「なんか今日いつもと違います?」と聞いてきた。

確かに私はいつも場が和むように挨拶は一言だけで済ませず、女性なら髪型やメイクなどいつもと違うところを見つけて褒めたり、男性なら「今日も男前じゃん!」などとセクハラ紛いの一言を加えたりしている。それがなかったことから私に余裕がないという想像を働かせたのだろう。しかし、それをきちんと言動に表すのが彼のすごいところだ。

朝までコースのデートをしていた日、モーニングを食べて帰ろうということになり、カフェに入った。私たちのテーブルの通路を挟んだ向かい側には、不倫カップルかと思われるような40代位の男女がいた。男性の方がやけに大きな声で話している。私たちはメニューを決めていたところだったのだが、「朝だから頭働かない。」とずっと決められずにいると、「それだけじゃないでしょ?」と言って目の前にいるのにLINEでメッセージを送ってきた。

「俺の後ろの人がうるさいからでしょ?」画面にはそう書かれていた。図星だった。聴覚情報が多いと自分の作業に集中できないのだ。目の前のメニューは景色と同化して頭に情報が入ってこない。おそらく私の表情も相俟って一層分かりやすかったのだろう。

今まで私が接してきた男性は、まずそもそも気付かない人が多く、たとえ気付いていても言わなかったのではないかと思う。彼はそれを的確に言語化してくれる。言わなくても分かってもらえたことを彼の言葉から知れて安心する。この安心感が彼への信頼に繋がった最大の理由だ。

エピソードは思い返せばまだまだたくさん出てくるのだが、今回はこのへんにして、また次回は他の魅力を伝えていこうと思う。

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