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マッチングアプリ体験談13
マッチングアプリにもいくつか種類がある。多くは、自分で設定した条件をもとに、相手の写真とプロフィールが表示され、自分でそれを選ぶシステムだ。しかし中には、自分が公開したプロフィールと設定した条件から月に何人か運営側が紹介してくれるシステムのものもある。利用したことはないが、結婚相談所を掛け合わせたような感じだろうか。この男とは、後者のアプリで出会った。
●第13話「残念な男」
出身大学で利用者が制限されるアプリのため、そういう意味で変な人はいないだろうと思っていたのだが、広告に書いてある以上に門戸はわりと広かったようだ。自分が見られる相手の情報は自己紹介文、年齢、デート希望エリア、出身大学ぐらいだったような気がする。このアプリでは月に3人紹介され、お互いのデート希望エリアが一致すればメッセージのやり取りができ、1回目のデートが決まればそこでSNSの連絡先の交換ができた。
初めはLINEのビデオ通話でオンライン飲みすることになった。そこで初めて相手の顔を知る。あれ、なんか違うかも?男はヘッドセットをしているせいで咀嚼音がばっちり入っている。しかも、口下手と来た。オンラインで口下手は罪よ?
まあこれだけではまだ分からないと思い、日を改めて外で食事をすることにした。日程を決めて、珍しく私がお店を決めて会うことにした。お店選び苦手なんだよなあ。待ち合わせ場所に現れた男は、私が思っていたよりかなり身長が低かった。前回胸元から上しか見えていなかったので気付かなかったが、私より低い。しかも鼻毛出てない?最悪。
過去のものも含めもうここまで私の文章を読んでいれば分かるだろうが、私は完全に見た目至上主義だ。相手の顔、身長、身なりで9割以上を判断し、合格判定が出て初めて性格を知ろうとする。こんなんだからいつまでも恋人ができないことぐらい自分でも分かっている。ただ、見た目が耐えられない人といつも一緒にいることはできない。
全然デート向きではないタイ料理店でテキトーなメニューを注文し、食べ終わったら即解散した。身長が高ければ顔が合格点まで到達していなくてもいくらか我慢できるのだが、隣で歩いていてときめくためには少なくとも私より高くなくてはいけないらしい。我ながら面倒くさい性格だ。「じゃあまた」と言って二度と来ない「また」を確信して電車に乗った。