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【不妊不育】助成金拡充の罠
こんにちは、はぴきちです。
【不妊治療助成の所得制限撤廃👏】
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) November 14, 2020
>政府は、不妊治療を行う際の助成制度に設けられている所得制限を撤廃し、治療1回あたりの助成額を増額する方針を固めた。
>不妊治療の保険適用を目指しており、制度が整うまでは現在の助成制度を拡充する方針。
おおおおおおお!!! https://t.co/P4jhsJn6ji
不妊・不育治療への支援拡大が決定し、金銭的支援が増大しようとしています。
保険適応が一番期待されてはいるものの、すぐに改変できるものではなく、混合診療などの課題も解決しなければならないため、まだもう少し時間がかかりそうです。
その中でスピード感を持って対応できる「助成金」の拡充がこの度変更となりました!
内容としては
・現行夫婦で730万円の所得制限の撤廃
・治療1回あたりの助成金の増額
所得制限は大きいのではないでしょうか。共働き夫婦であればすぐに730万を超えてしまうことも多いでしょうから。
ではなぜ私が助成金の拡充を訴えてこなかったのか、なぜ保険適応を訴えているのか。
保険適応を検討するためにはエビデンスに基づいた標準治療を確立させる必要があり、なぜそれがされてこなかったかというと、不妊治療に対しての法律制限がなく学会の見解のみで運用されてきているから。この現状こそが諸悪の根源だと思います。 https://t.co/HncHmJ33xh
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) September 27, 2020
まずは日本に適切な治療ガイドラインや法整備がないこと。学会の見解のみで運用されており、実際それに沿わずとも医療機関を運営できること。もちろん多くの医療機関が学会の見解をしっかりと順守して運営していますが、それは禁忌事項であり、実務のガイドラインは存在しません。
採卵件数世界一、治療効率ワースト世界一位。
これはいったい誰のせいでしょうか?標準治療ガイドラインもなく、生殖専門医の資格すら必要なく、これで本当にいい治療が提供できますか?
次に、生殖補助医療に関連する資格について。
産婦人科専門医、生殖専門医。これらは両方とも学会認定資格です。
生殖補助医療はもちろん生殖分野に特化した領域ですが、開業するまたは診療を行うにあたって、「産婦人科専門医」は必須ですが「生殖専門医」は必須ではありません。
事実、常勤の生殖専門医がいない不妊・不育治療施設もたくさんあります。
私が先月調べた段階では、
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) September 11, 2020
日本参加婦人科学会認定のART施設:591施設
生殖専門医常勤1人以上いる施設:330施設
でした(現在見直し中ですが)。
果たして治療効率最低国は誰の責任かと言うお話です…。 https://t.co/06zSAMV66u
こちらは当時私が自分で調べた数なので、今は少し違うかもしれません。
非常勤でも生殖専門医がいればいいのか、こちらはまた違う議論になってきますので割愛しますが、約半数の施設では常勤の生殖専門医がいないことだけ強調しておきます。
そしてこちらは一人でもいればカウントしていますので、実際の生殖補助医療に携わる医師の数と対比したらより顕著になるのだろうと予測しています。
「専門医があると、多少箔がついて転職のとき有利かな、くらい」との発言を実際に診療している医師からいただいています。
「ハードルを上げると、生殖専門施設が全くない地域ができてしまうための配慮では」との発言もいただいております。こちらもわからなくもないのですが、現在は解消されていますし、業界として専門医制度をあまりにも軽視されているのではないかと思ってしまいます。
おかげで患者数を増やしたいからと無知で成績の低い施設が増えてしまうのもまた事実ではないでしょうか。
産婦人科医であれば生殖専門医でなくとも、不妊治療の知識がなくても開業できます。
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) September 9, 2020
不妊治療の技術を一手に担う胚培養士は学会資格にとどまり、国家資格にはなっていません。
これでは医療の質は確保できません。#アベプラ
そして忘れていけない胚培養士。
国家資格化はまだまだです。2学会が学会認定資格の交付を行っています。
こちらも資格を持っていなくとも従事できますし、国家資格という観点からみると無資格者ということになってしまいます。おかげで臨床検査技師を持っていなければ従事させないという医療機関もありますが、これはこれで違う話ですよね。
胚培養士の担っている業務は本当に繊細な技術が必要です。
患者様からしても無資格者に自分たちの配偶子や受精卵を預けていることになりますからし、無資格者より有資格者がいいのは言うまでもないでしょう。
胚培養士からしても「自分たちは軽視されている」と感じます。
本当にこの実情でよいのでしょうか。
ただこちらに書いているように、「資格化さえすれば万事解決」ということでもないんですよね。
これは胚培養士にも生殖専門医にも言えることだと思います。
資格を確立し、医療者として正当な地位を与えてほしいという意味では国家資格化にものすごく賛成しています。もちろんこの点でも諸外国から遅れていますので。
現状は2学会の対立によって国家資格化が遅れているという、当事者にとって迷惑極まりない側面がありますので、こちらはぜひ早急に解決してほしいですね。
さて最後に、助成金拡充によって最も起こると予想していた2つ。
・保険適応を目指していたのがいつの間にやら助成金で満足しうやむやに消えていってしまうこと
・医療機関の謎極まりない便乗値上げ
いいニュースです!!
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) October 1, 2020
保険適応には時間がかかりますので、その間の助成金拡充には大賛成です👏✨
ただ助成金拡充に満足して
🍀保険適応がうやむやに
🍀医療機関の謎の便乗値上げ
は避けなければなりません。
この2つには目を光らせましょう…! https://t.co/Fm3oqlj1LS
あくまでも治療に通う患者様たちの金銭的負担軽減によって通いやすくなり、結果子供が増え、少子高齢化の進む国にとっても子供が増えてよい、という理論の元、助成金拡充しているわけですよね。
これで医療機関が不当な値上げをしたらおかしくないですか?
恐れていた事態がついに…!!
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) November 14, 2020
不妊不育の助成金拡充のみが先行すると、それに便乗して病院が値上げして、治療内容は一切変わらないのに、ただ病院が潤うだけの構図。
これ、本当に患者様のためになっていますか?なっていませんよね。
新たな機器導入など、値上げ理由を明確に示してほしいですね。 https://t.co/NPDOgZyXdV
そして実際に値上げをする医療機関が出てきたわけです。ほかの方からも通院先で来月から値上げするとの張り紙があった、との声を聞いています。
事実、不妊・不育治療を提供する医療機関は金銭的に困難な状況が続いているだろうとは思います。
コロナによって「生み控え」するようなお達しがでて、患者様も減ったでしょう。
乱立するクリニックによって患者の取り合いが生まれ、赤字になっている施設も多いと聞きます。
都内で黒字が出ている施設は数える程度しかないとの噂も聞いたことがあります。しかもコロナ前の状態で、です。
実際に不妊・不育治療を運営するとなると、高額な機器や設備、厳密に管理された環境、プロフェッショナル達に支払う高額な人件費、研究もするとなると研究費も、たくさんのお金が必要になることはもちろん理解できます。
しかし助成金が増えたからと言って、これを頼りに値上げするのは違うんじゃないでしょうか。
そうなってしまえば患者負担額は変わらないことになりますし、助成金を申請するまではより多くのお金を建て替えねばならない状況になります。
それで反発する患者様が増えてもおかしくないし、むしろ妥当だと思います。納得できるはずもないです。
まさにそうだと思います。
— 胚培養士はぴきち@不妊治療の技術職 (@embryologist_hp) November 14, 2020
医師に限らず医療従事者も含め「患者が必要とする情報や処置などの提供」が根本なんですよね。
自分の利益のためだけにわざと適切な医療を提供しなかったり、あえて情報の開示をしなかったりだなんて、言語道断だと思います。
もっと透明性が求められるべきだと思います。 https://t.co/VyB305znMm
今、不妊・不育治療業界はいろいろな観点から注目を受けており、今ずっと積み残してあった課題に取り組んでいくべきベストタイミングだと思います。
業界にメスを入れたいがために、透明性を確保するために、その手段として「保険適応」を望んでいる事実を忘れてはいけません。
これからも引き続き声を上げ続けていきたいと思います。
はぴきちでした🍀
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