加齢による姿勢と歩き方の変化について
はじめに
私たちは年齢とともに身体機能に様々な変化が訪れます。自律神経系や呼吸・循環器系、筋力や柔軟性、バランス機能と変化は多岐にわたります。
特に姿勢や歩き方の変化については生活習慣や運動歴等で個人差が大きくなります。特に40代以降は「背中が丸くなった気がする」「平地でつまずく様になった」「歩くと疲れやすい」などの悩みが増える年代でもあります。
そこで今回は、加齢による「姿勢と歩き方の変化」と必要な運動について解説していきます。
なぜ年を取ると腰が曲がる?
加齢によって影響を大きく受けるのは「脊柱」だといわれています。加齢による脊柱の変化を調べた研究では、脊柱の中でも胸椎と腰椎で湾曲が強くなるとされており、特に胸椎の後弯が過剰となりやすいことが分かっています。そのため、背中が丸まり、頭を前に突き出した「腰曲がり姿勢」をとりやすいのです。
また、60歳以上の高齢者のレントゲン写真を調べた研究では「腰曲がり姿勢」の多くは骨粗鬆症も併発しやすいとされてます。また、背すじを伸ばすために必要な背筋力も大きく低下するとの結果も出ています。
< ポイント >
脊柱には「生理的湾曲」というものがあります。頸椎と腰椎は前に弯曲(前弯)、胸椎は後ろに弯曲(後弯)してS字カーブを描いています。頸椎や腰椎は頭や上半身の重み、歩く時の地面からの衝撃を吸収し、胸椎は肋骨とともに内臓を保護しています。
腰曲がり姿勢になる3つの原因
骨粗鬆症による背骨の変形
背すじを伸ばす背筋力の低下
背骨を動かせる範囲の減少(生理的彎曲の異常)
「腰曲がり姿勢」とは「円背」とも呼ばれます。胸椎の後湾が大きくなることでバランスが後方へ片寄り、バランスを保つために膝が曲がり、視界を保つためにあごが上がった姿勢です。
そして、背中や太もも、ふくらはぎの筋肉へ持続的な負担が掛かってしまっている状態でもあります。この持続的な負担は筋肉の疲労や痛み、筋力低下に繋がるとされています。
歩き方はどう変わる?
「腰曲がり姿勢」では歩く速度が低下します。
原因は主に2つ
膝を伸ばす筋力の低下
足を蹴り出す力の低下(扁平足や外反母趾も併発しやすい)
膝を伸ばす筋力の低下と蹴りだす力の低下によって前方への推進力が失われます。また、「腰曲がり姿勢」では、偏平足などの足部変形が起こりやすく、ふくらはぎや足底筋の過剰な働きで筋疲労が起こりやすくなります。その結果、「歩く速度が遅く、疲れやすい歩き方」になるのです。
姿勢制御(バランス)の変化は?
姿勢制御(バランス)とは、身体に姿勢を崩す様な外力が加わった際、すみやかに立て直す反射・反応のことです。
「腰曲がり姿勢」では姿勢制御が機能しづらく転倒しやすくなります。
転倒の危険性は同じ年齢でも腰曲がり姿勢とそうでないとでは差が大きくなります。
姿勢制御は以下の順で行われます。
足部で立て直す(足関節制御)
股関節で立て直す(股関節制御)
足を踏み出して立て直す(ステッピング)
電車内に立っている場面を想像して下さい。
急な揺れに対してつま先を上に向けてバランスを保った経験があると思います。これが足関節制御です。
そして、それでも姿勢を立て直せない場合、身体を「くの形」して姿勢を立て直します。これが股関節制御です。
それでも、立て直せない場合はステッピングで重心をコントロールして転倒を防ぎます。
では、なぜ「腰曲がり姿勢」で転倒しやすいのか。
それは足部変形で『足指で地面を掴む力』が低下しているからです。
足関節制御が機能しなくなると股関節制御が優先されます。
しかし、直接地面と触れる足関節制御と比較して股関節制御は素早さに欠けます。そのため、素早く姿勢を立て直せず転倒しやすいのです。
腰曲がりはピラティスで予防できる!?
「腰曲がり姿勢」を予防・改善するには、加齢によって起こりやすい脊柱の変形を予防する必要があります。
ピラティスでは、姿勢を保つために必要な体幹筋を鍛え、脊柱を正しい位置に整える事が可能です。そして、同時に足部の「柔軟性と安定性」を高めることで足部から体幹を含む全身を制御する能力を高めます。
その結果、足部の正しい動きは良好な感覚として脳へ送られ、無駄や癖のない機能的で効率的な姿勢、動作が身に付くのです。
また、運動のバリエーションも豊富で臥位(寝た状態)~立位(立った状態)で行えるため、運動経験がない方や、痛みや不調で思うように身体が動かせない方も安心・安全に運動が行えます。
さいごに
動画では腰曲がり改善と腰痛改善効果のあるエクササイズを投稿してます。たった5分間で出来るので是非試してみて下さい。
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