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#装丁が素敵な本 9冊

素敵な本の装丁を見ているとわくわくするし、何か作りたいという気持ちにもつながります。
そんなわけで、twitterでつぶやいていた、手元にある装丁の素敵な本についてまとめてみます。加工や紙については素人目の判断です。また、用語も厳密なものではなく、同人誌向け印刷所で一般に使われる用法を考慮し使用しています。

図録 「球体関節人形展」 DOLLS of INNOCENCE

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東京都美術館で映画イノセンス展をやったときの図録。外側はトムソン加工、フランス装、金箔押し。本文はフルカラーで人形写真が豊富に収録されており、本文は一部黒い紙に銀インクというめちゃくちゃ豪華な装丁です。
黒字に銀インクの部分も意外と読みやすいです。

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でもトムソン加工は実際に読者として保管しようとすると、本棚から出し入れするときにそこから破れそうになるいのが難点です。本棚から出したり仕舞ったりするときに少し緊張します。

ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて展 図録

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アンカットの本というのをこれで初めて手に取りました。アンカット、つまり切れてない、そのままだと読めない本です。自分の手でカッター等を用いて切り開いて読みます。

いわばすべてが袋とじ本。十七世紀以前に流通していた形式で、当時は自身で製本をするのが普通だったそうです。

コーネルの作品図版と、高橋睦郎の詩が収録されており、本文はすべて活版印刷です。

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非常に味のある字体で、コーネルと詩の世界にとてもマッチしています。
白いリボンで閉じるようになっているのもかわいいです。紙はやや劣化していますね。

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ラブという薬

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カバーもかわいいけれど、本体の表紙も紺と白を使ったもので、一見地味にも見えるのだけれど、どこをとってもかわいい。はっきりした黒でなく紺と白という取り合わせがおしゃれ。

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本文も文字が紺色で、黒を使っていません。本文は現代日本の精神の病などについて、対談形式で柔らかく進むもの。テーマ自体は明るいものではないですが、それをふまえての全体に重くなりすぎない造本です。

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君の話

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これは写真だとわかりにくいのでこういう紹介には向かないのですが、とても好きな装丁なので。

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カバーもイラストがぱっと目を引き美しいのですが、カバーを外した本体表紙は一見真っ白です。
でもよく見ると、実は薄く文字が白?のインクで印刷されています。

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ぱっと見ても気づかないレベルの薄い印刷です。記憶を扱った繊細な物語にぴったりの、さりげない工夫が素敵だなと思います。気づいた時に嬉しい。

ソフィ・カル 限局性激痛 フランス語版書籍

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原美術館で何度か展示が行われた、ソフィ・カルのトラウマ的経験をテーマにした作品を収録した本。本体は灰色の布張りのハードカバーで、シックな印象です。重要なアイテムとして展示中に出てくる電話機が空押しされています。

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小口がメタリックな赤でとても目立ちます。
サイズは新書くらい、赤のスピン(しおりひも)もついています。

厳密には図録ではなく、フランス語の書籍です。原美術館系列で買うと展示で使用されている日本語訳がつきます。

ベーシックインカム

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トレペカバーの本は自分でも何冊か作っています。(参考→https://note.com/elsur00/n/n94fb63dd0114

トレペカバーの場合、「トレぺがカラー印刷で本体がモノクロ」(私が作成したのはこのパターン)か「トレぺがモノクロで本体がカラー」に大別されるように思いますが、これは両方ともモノクロのパターンです。

ちょっとずれたような形で、本体に明朝体、カバーにゴシック体が印刷されています。

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地味になりそうなところ、工夫があってつい手に取ってカバーを外したくなるような装丁になっています。帯はなく、推薦コメントなどもそのまま印刷されています。

この手の白地に黒文字という表紙はビジネス書などで多いです。自分で本づくりをするときのことを考えると、カラーでなくモノクロならその分印刷費も安く済むし、帯もないならさらに費用的には手軽です。

ザ・ビューティフル展図録

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三菱一号館美術館の唯美主義の展示の図録です。「唯美」がテーマであるだけあって、あらゆるところにまで美をたたえる精神がゆきとどいた美しい本になっています。こういう本こそ紙でないと!

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唯美主義の絵画を紹介するのに、本も美しくなければという気概が感じられます。ハードカバーで、表紙には金箔押し、ニス、本文にはところどころ金インク、途中見開き印刷のとじ込みがあります。とにかく豪華です。

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法のデザイン

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柔らかいクリアカバーと、クラシカルな黒い本体、金の箔押しでかっこいい教科書のような雰囲気です。 黒の本体には印刷はなく、箔押しのみです。
帯のフォントがレトロ感あって可愛いです。

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とはいえ、固い本なのかというと、テーマ自体は法ではありますが、現代社会の状況を踏まえた、むしろ新しい話題を取り扱っている本です。
新しい話題なので軽い外見、という選択もあれば新しい話題だからこそ、固めかつおしゃれというバランスになっているのかなと思います。

須田悦弘展図録 千葉市美術館

小口黒、本体はクリアPP、印刷なしで、遠目に見ると黒い板が一枚あるような、まさにモノリスのような雰囲気です。
タイトルは印刷ではなく、空押しでへこみを付けた形で表記されています。黒い表紙を採用する場合、タイトルはだいたい空押し・箔押しが多いようです。

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鏡みたいにテカるので、写真がとにかく撮りずらいです…。

本文はフルカラーで、もちろん須田悦弘作品が多数収録されています。すごくかっこよくて素敵な装丁です。

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ただ、日常の隙間に入り込むような須田悦弘さんの作品とはちょっと雰囲気が違うような気がしなくもないです。

私自身がアート好きなのと、凝った本という点で図録が多めになりました。普段の読書はどうしてもkindleが主体なのですが、やっぱり凝った本だと紙で欲しいな~~!となってしまいます。

オススメを見つけたら「#装丁が素敵な本」でツイートしています→https://twitter.com/elsur00
自分の本の最新装丁まとめはこちら


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