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そのgive精神、“自己犠牲”や“搾取”になってない?「giveをしよう」へのアンチテーゼ

「成功したいならgiveをしよう」

SNSでよく見かけるgiveの精神論がちょっと苦手だ。それはgiveという名の自己犠牲で苦しむ人を、たくさん見てきたから

大前提、私もgiveをすることは大切だと思っている。それは仕事でも、人間関係でも、パートナーシップでも。人からもらうことよりも、まずは「自分から人に何かをする」日々、その思考を大事にしている。

ただ「giveを強制される/自分に強制する」そんな行動は、自分を苦しめてしまうのではないか。

今回の話には賛否両論あるかもしれない。でも、人のために頑張りすぎて、疲れてしまっている方が少しでも救われたら。そんな想いで綴っていきます。

なぜgiveが大事なのか

「giveが大切」という考えには私も賛成だ。

giveの対義語である「take」。自分がもらうことしか頭にない「Taker」には、人もお金も縁も寄ってこない。

だから、何かを得たいときはまずは自分から与えること(give)から始めるのが大切だ。見返りを求めずに行うgiveも、とても良いと思う。

たとえば、仕事で駆け出しのとき。

私の友達の売れっ子ライターさんも、「実績がないときはほぼボランティアで仕事して、実績を作った」と言っている。かういうわたしも、はじめは無報酬や少ない報酬で仕事を受けて実績を作った。

また、お金をいただかずに相談を受けたりして、結果大きな仕事につながることもある。

ただし、それは「戦略的なgive」だ。ちょっと打算的に見えるかもしれないが、長期的に見て自分にプラスになると思うから、まず人に何かをするgiveである。

それは“give”か、はたまた”自己犠牲”か

わたしが思うgiveとは「愛のシャンパンタワー」の結果、生まれるものだと思っている。

「愛のシャンパンタワー」の法則は、パートナーシップや恋愛の文脈で使われることが多い。私は、この愛のシャンパンタワーは仕事や人生でも一緒だと思う。

まずは自分が満たされる。つまり満足する仕事ができていたり、自分に余裕がある状態ができる。

それで「ちょっとだけ余ったから人にも分けてあげよう」と思えるものがgiveなのではないか。

私はよく「ライフワークとライスワーク」の話をする。それは私がふだんの仕事でお金をしっかりもらえているからこそ、保護猫などの応援したい業界の仕事ではほぼボランティアのような形で仕事を受けられる。

(もちろん、ライフワークを大事にしたいからはじめからライフワークの比率を多くする、なんて選択もよいと思う。)

でも、自分に余裕がないのに「人に何か与えなくちゃ」「自分は何もできないから、人に何かしないと…」。そうやって追い詰められて、余裕がない中で絞り出すものは“自己犠牲”ではないだろうか。

“give”を搾取する人たち

そんな“自己犠牲”を人に強いる「搾取をする人」も存在する。

たとえば「友だちだから、タダでやってよ」「経験になるから、安くやってね」「成功にはgiveが大事!だからあなたもこのコミュニティにgiveしてね!」――そうやって「giveをしよう」と、強制する。それはgiveではなく「搾取」にならないだろうか。

(とはいえ、私も駆け出しライターさんとの仕事をするときのリスクヘッジや、予算の関係で十分な報酬をあげられないこともあるので、搾取側にならないように気をつけたいと日々思っている……。)

何をgiveすればいいの?

ここまでgiveの「自己犠牲」や「搾取」について話してきたが、大前提、私はgiveをすることにおいては賛成派だ。

では、どんなgiveをしていけばいいのか。

それは、自分ができることや余っていること、余裕があること。つまり「自然と人にやってあげたくなること」からgiveを始めてほしいと思う。

あげるものは相手と同じではなくてもいい。「SNSでシェアしてあげる」「おいしいお店を教えてあげる」「イベントでコメントをする」そんな、自分ができる“小さなこと”から始めてみてはどうだろうか。

もちろん、前述の「戦略的give」も仕事の文脈ではおすすめだ。実績のために安い金額で仕事を受ける、一緒に仕事をしたい人に割引価格で売り込む、頼まれた以外の仕事もやる……自分の未来のための“投資”という考え方をもつのも大切だ。

ただ「やってあげたのに、相手に何も返してもらえなかった」と思ってしまうものであれば、それは自分に余裕がない証拠。そんな気持ちを持ってしまうときには、自分に余裕ができるタイミングまで「自分を満たす時間」にしてみてください。

また「giveを搾取する人」だと気づいたら、スッと離れることも大切。

「giveをしなきゃ」と焦ってしまったり、何かにgiveすることでつらくなってしまっている人へ。

giveは義務じゃないし、できるときにすればいい。giveすることに焦らずに、まずは自分を満たしてあげることから始めてみてください。

そして、いつか自分をいっぱいに出たときに、周りにいる人に少しだけ分けてあげてくださいね。


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